川北英隆のブログ

影の仕事とやらに納得

日経新聞を整理しつつ読んでいたら、「影の仕事で生産性低下も」とのコラムがあった。この影の仕事(シャドーワーク)について、「子育てや家事などに加え・・最近では、企業が仕事を顧客に押し付ける事例が増えている」とある。昨日の新生銀行がその事例である。
このコラムでのシャドーワークの定義を正確に書くと「企業が仕事を・・」ではなく、「技術を駆使して企業が・・」とある。ここから「技術を駆使して」を削除してみた。日本の銀行の事例が「技術を駆使して」に値しないと思ったからにすぎない。
いずれにしても、確かに我々は影の仕事に時間を費やされている。「これはそっちの仕事やろ」と思うのだが、いつの間にかこっちらがさせられている。
典型はコンビニのレジだろう。前にも少し書いたように、酒類であれば年齢確認で始まり、何で支払うのかを決め、支払手段をかざしたり、カードやお金を入れたりしなければならない。さらに、買った商品を袋に詰めることも要請される。しかもである、とろとろしていると、後ろに並んでいる客の冷たい目線を感じてしまう。「こっちが悪いんやないで」と心の中で叫ぶのだが、果たして後ろの客に伝わるだろうか。
言及したコラムにも同じように事例が書かれていたが、最近のラーメン店や居酒屋の注文はタブレットを使う。店によって注文の仕方が異なるから、初めての店では画面上で迷子になる。
そのうちタブレットが「出来たで」と呼び、それを合図に調理場まで取りに行く必要が出てくるだろう。そうなると調理場がどこにあるのか、本物の迷子になりかねない。
アプリもその典型である。その完成度が低く、迷路的になっている場合や、アンケート的な情報入手に使っているのではないかと疑われる場合など、「やってられんな」と思う。「そっちの仕事やのに、それにタダで加担させられている」と感じる。
ネットが登場した初期の頃、豊かな情報を簡単に入手できることに感動したものだが、今や相手の仕事を手伝わされ、相手から情報を吸い取られる時代に突入した。とすれば、ネットが生産性の向上に大きく寄与した時代が終わり、かえってネットが生産性の足を引っ張る側面にも注意しなければならない。
その典型がフィッシングメールかもしれない。それを防ぐための振り分けソフトもありという具合に、ネット上では無駄な作業が増えている。戦争を仕掛ける側と、それを防ぐ武器を作る側の状態と同じで・・、いずれにしても余計で無駄な仕事と言うか作業が情報端末を賑わしている。

2023/02/09


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