川北英隆のブログ

糞ネイティブな英語は難しい

先日、日本価値創造ERM学会の大会に出席した。と、ある発表者が「ブルーシート・ジョブ」と言い、直後に「クソどうでもいい仕事」と説明した。しかし腑に落ちない。「何のことやろ」と思い、自分に「ブルーシート・ジョブ」をメールしておいた。
ようやく時間ができたので調べると、ブルーシートではなく、ブルシット(bullshit)だった。ブル(bull)は雄牛のことで普通ながら、shitとは元々は糞の意味で、スラングだとか。ブルシットなんて初めて聞くから、ブルーシートに聞こえたわけだ。
それで、Bullshit Jobsとは少し有名な本の題名らしい。アメリカの人類学者が書いたとか。日本語に約されていて、『ブルシット・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』と題されている。本来は「バカバカしい仕事」で良かったのだろうが、原題のニュアンスを伝えるには「クソ」を付ける必要があったのだろう。というのも、bullshitにも糞の意味があり、通常は「でたらめ」とか「嘘っぱち」の意味があるとか。
何故、牛の糞が罵られなければならないのかは不明だが、アメリカでは牛は通常見られる動物だし、奈良でよく見かける鹿の糞と比べて、牛の糞は大きくて目立ち、乾燥地帯でないかぎりベタベタしているからだろう。もっとも、チベットやアフリカなどでは牛の糞は貴重な燃料だから、現地語でBullshitと表現すれば、役に立つとか、貴重なとかの意味になるのかも。
書き加えておくと、日本人にとって座るという意味のsitと糞のshitとを言い分けるのは難しいかもしれない。少なくとも僕には、会話の中では無理だ。とすれば、アメリカ人に、「彼/彼女はベビーシッターです」と紹介すると、「ええ、赤ちゃんの糞かいな」となるかもしれない。本当に難しい。
追記:shitで思い浮かぶのが奥の細道に登場する尿前(しとまえ)である。「蚤虱 馬の尿(ばり)する 枕もと」の句が残っている。この尿とshit、似ているような気もする。偶然なのだろうか。

2023/09/11


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