川北英隆のブログ

カエルを食べて福を得た話

海外に、それも卑怯に違う、秘境に何回か旅行しているMT氏とKZ氏に誘われ、渋谷の台湾料理の老舗で飲み会をした。お盆の後、別々に出かけた海外旅行の報告会を兼ねて。
店は赤レンガ造りである。1955年から営業をしているとかで、界隈では有名な店らしい。渋谷や池袋に疎い(東京に住んでいた頃でも累計数回程度しか行ったことがない)から、何も知らなかったが。
大きな店で、流行っている。丸テーブル席が多いので、数人だと相席になる。料理のメニューは豊富で、本格的な料理もある。先日、吉田類の酒場放浪記20周年記念・台湾特別企画に出てくる台湾料理と同じで、ささっと料理した感じのものが多い。
勤務先から帰宅途上に寄ることの多そうなMT氏は、シジミの炒めもの、腸詰め、大根餅が美味いとか。このうちシジミの炒めものは吉田類でも登場した。それらを食べ尽くし、それ以外も堪能した後、最後にもう1品というので頼んだのが、カエルの天ぷらである。
カエル料理には思い出がある。
最初に食べたのは就活していた時、某証券会社に連れられて大阪の南(ミナミではなかった)で入った寿司屋である。脚だけにされるカエルを見ながら食べた。
多分だが、次に食べたのは帝国ホテルにあったリーズナブルな飲み屋である。同僚と入ったように記憶している。やはり最後の方でカエルの炒め物を注文した。と、料理を運んできた女子店員が、皿をテーブルに置こうとした瞬間にひっくり返した。同僚のズボンにカエルが跳び跳ねた。店員はカエルが怖かったのか。
店長らしきのが出てきて、「クリーニング代として代金はいただきませんので」と言った。レジに行くと、何とカエルだけではなく、全額無料だった。同僚に非常に感謝しつつも、「もっと飲めばよかったね」と別れた。
いつもカエルを頼む時は帝国ホテルの再来を期待するのだが、いまだ実現していない。今回も実現しなかった。店員の中国人はカエルを見ると怖がるどころか、舌なめずりするのだろう。
「残念」と思いつつレジに向かうと、MT氏が「100円落ちている」と、それを拾った。ほぼ同時にレジ係が「(多分だが)24090円です」と言った。1人8000円では足りず、中途半端である。瞬間ひらめいたのがMT氏の100円である。「MT氏さん、今の100円を出したら」と提案した。3人が1万円札を出し、めでたく2000円ずつお釣りが返ってきた。
これが小さな「三方良し」か。やはりカエルには福がある。

2023/09/23


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