川北英隆のブログ

富士山から季節が進んで

おおよそ1ヶ月ぶりに東京に出てきた。名古屋を過ぎると天気が良くなり、新幹線が富士川を渡る頃には快晴になった。その鉄橋の手前は富士山を見る一番のポイントである。
富士山の山頂付近がまっ白なベレー帽をくっきりと被っていた。白かったのは宝永山よりも相当上の部分だから、標高3000mを超している。一昨日から昨日にかけて、山頂付近だけが雪になったのだろう。
今から思うと珍しい富士山の姿だった。富士山の初冠雪の姿と言えば、山頂部がうっすら、時にはまだら模様に白い姿しか思い出せない。
だが今回、新幹線の中ではただ眺めているだけだった。それに過去の経験からして、写真を撮っても上手く写らないだろう。
富士川の手前、静岡付近では南アルプスの前衛が見えた。前衛といっても標高は2000m前後ある。山肌が赤みを帯びていた。いよいよ秋が深まっていく。
横浜を過ぎ、東京が近づくと、富士、丹沢、大菩薩、奥多摩の山並みが見えてくる。富士山の白い姿が目立った。南アルプスの姿は確認できなかった。まだ白くないため、目立たないのだろう。
もっともこの新幹線からの山岳風景には、以前ほどの迫力がない。というのも、沿線のビルの背丈が伸びてしまったから。それらの隙間からチラチラと山の一角が見えるだけになった。
新幹線で京都から東京に通うようになって20年が経とうとしている。当然ながら、車窓の風景というか、車窓からの見え方が大きく変わった。
その続きとして、東京駅の北側では、シンボル的だった大きなビルの取り壊しがほぼ終わった。東側、つまり八重洲側でも大規模な取り壊しが進んでいる。やがて新しく大きなビルが立ち上がり、風景が一変する。
変わらないのは大きな山だけか。その時々に、木々や雲や雪で装いを変えるものの、「アンタやん」とすぐに判明するところが嬉しいではないか。

2023/10/16


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