川北英隆のブログ

公認会計士不足とデブ化

今日の日経新聞に「太陽監査法人、急拡大のひずみ (金融庁に)業務改善計画提出へ」という記事があった。日本の監査法人は4つの大手と準大手以下に分かれる。冒頭の太陽監査法人は準大手に位置する。
現在、会計監査業務が増大している。上場企業に課される有価証券報告書などの開示資料が適切に作成されているのか、その監査の対象項目が多数、多様かつ複雑になっている。同時に、上場企業数が増えている。
会計監査業務は公認会計士の本来の業務である。聞くところによれば、その監査業務を嫌う公認会計士が多いとか。だから監査業務に従事する人手を増やすのも難しい。
このことから、大手が引き受ける会計監査業務に限界が生じ、溢れた業務を積極的に引き受ける準大手が登場し、その準大手の能力に疑問符が付く事態になっている。
公認会計士になるには難しい試験に合格する必要がある。だから能力が高い。一方、その高い能力を活用する仕事として、監査法人のグループ企業が担うコンサルティング業務がある。公認会計士の人気は監査業務よりもコンサルティングにある。年収はよく知らないが、少なくともコンサルティングは華やかであり、転職や独立が簡単だろう。これに対する監査業務は、地味で、独立するにしても税理士くらいしかないかもしれない。
書きながら思ったことがもう1つある。監査業務は責任が重い。粉飾決算などがあれば、監査した公認会計士の責任が追求される。これに対してコンサルティングの場合、トンチンカンなアドバイスをしたとしても、そこまで責任が追求されない。その結果、業務のリスクに対する年収は圧倒的にコンサルティングが上だろう。
では増大する会計監査業務をこなすにはどうすればいいのか。
1つに、公認会計士を増やすことである。しかし人口減少社会において公認会計士を増やすには、試験の質を落とすことになる。多少はともかく、極端なことはできない。
2つに、AI(人工知能)の活用である。とはいえ、最終的には公認会計士のチェックが求められるから、抜本的な解決策にならない。
3つに、業務の量を減らすことである。開示資料の質を落とすわけにいかないから、監査対象となる上場企業数を減らすことが対応策となる。
結局のところ、2番目と3番目の組み合わせだろう。当然ながら大手監査法人はAI化を進めている。他方、日本では上場企業数を増やす政策が依然として続いている。しかし、ゴミ的な企業を上場企業とすることに何の意味があるのか、疑問が大きい。
上場企業の掲載誌、会社四季報のページ数が毎回増えてデブ化するのは、はたしてグッドなのか。僕が子供の頃、「太っているのは貫禄がある、太りたいものや」と父親がこぼしていたのを思い出す。今や「デブはアカン、病気の元や」となり、痩せ薬が承認されたとかで製薬会社のイーライ・リリーの株価が急騰している。
この世界でも日本は周回遅れなのかと思えてきた。

2024/01/26


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