政府はDX(デジタルトランスフォーメーション)というキャッチコピーを用い、さまざまな活動のデジタル化を推進しようとしている。でもこのキャッチ、キャッチだけで終わっているような。言葉を作っただけで大層な仕事した気になる、政府の悪い癖でもある。
政府自身がDXからほど遠い。
先日の土曜日だったか、日経新聞には農水省がコメの在庫を把握できていないと書いてあった。コメを最重点食料(食糧かな)と位置づけ、政策や規制の対象としているのに、その根幹の1つである在庫を把握できないとは情けない。
コメの作付け、価格、輸入などを規制するのなら、そのベースの1つとして在庫量の把握が必須である。伝票をデジタル化し、それを集計することが求められる。入荷と出荷を把握すれば済んでしまう。農家にデジタル化を課すのが問題なら、業者にだけ課せばいい。農家が自家消費する量は把握できないかもしれないが、精米の時に大部分が把握できる。
在庫が把握できれば、今回のようにコメ価格が暴騰した時にも対処が容易となる。過剰な在庫を注意をし、放出させることもできる。農水省にもこの程度の知恵を働かせて欲しいものだ。
今日は今日で、インフルエンザの治療薬の不足騒動は、一部の者が過剰に発注し、そこに在庫が溜まったからだと書かれていた。これもまた厚労省のDX音痴が原因としか思えない。
現在は情報化の時代であり、情報過多であり、デマ情報さえ飛び交う。デマでなくとも不安を煽る情報はいくらでもある。インフルエンザ情報もその1つだろう。インフルエンザが流行ると予想すれば、いち早く治療薬を入荷して大量に売ろうとするのが商売人である。監督官庁であっても、その商売人の行動のすべてを止めることはできない。
監督官庁としてできるのは、過剰な在庫、買い占めを監視し、行き過ぎた場合はそれを是正させることである。このためにはコメと同様、薬の出入り情報をデジタル化し、把握することに尽きる。こちらはコメと違って簡単である。生産した薬をメーカーの社長や社員が大量に飲むわけもないから。
薬の情報は疾病対策としても重要である。だから当然、在庫の把握ができているものと思っていた。常時把握していなくても、把握しようとすれば、すぐに情報を得られることが疾病対策として必須に近い。そんなこともできなくて、何を監督しているのだろう。
ということで、政府自身がもっと本気にDXで取り組まなければ、国民がDXに迫られない。その結果、マイナンバーカードのように、大山鳴動して健康保険証1枚的なことになりかねない。
2025/02/04