今回のスリランカ旅行の最大の目的はアダムスピーク(2238m)だった。仏教、ヒンズー教、イスラム教、キリスト教の聖地とされる。
アダムスピークとの呼び名は、イスラム教が最初の人類とするアダムが由来だとか。キリスト教のアダムと同じである。山頂にある大きな岩の凹みをアダムの足跡だと見立てている。インドとスリランカを繋ぐように見えるアダムスブリッジのアダムも同じらしい。
もちろんアダムスピークは現地名でない。スリランカのシンハラ語ではスリパーダ(Sri Pada、聖なる足跡)と呼ばれている。
その「足跡」を祀るため、山頂に大きな寺院が建てられ、参道が整備されているので多くの信者が登る。麓の町、ナラタニヤから標高差1000mある。円錐形の山だから、道は非常に急である。とくに山頂の手前が厳しい。なお、西麓からも参拝道があるそうだ。
熱帯の山だからか、多くの参拝者は暗いうちに登る。我々もナラタニヤのホテルに泊まり、夜中に登山を開始した。登山口まで車で移動し、登り始める。参道沿いにはお供え物を売る店、飲み物や食べ物を売る休息所、寺院(多くは仏教寺院だが、ヒンズー教の寺院も混じる)、トイレ(有料)が連なっているある。誰かが「富士山みたいだ」と感想を述べていた。
山頂まで送電線が敷かれ、売店などは煌々としている。ヘッドランプは不要に近い。この点は富士山以上だろう。
参道はコンクリートで固められ、階段続きである。最初は緩やかながら、赤い橋を渡る付近から傾斜が急になる。さらに白い橋を渡り、参道が南を向くと、鋭鋒を巻くように付けられた道になり、非常に急になる。段差も大きい。参拝者の中には参道で休む者も出てきて、渋滞が始まる。
参道が南から西に向きを変えると山頂が近い。その少し上で建物の中に入る。靴を脱いで靴下だけになり、寺院というか足跡へ参拝する。山頂に立つ建物への階段を上がると、左手に金色の仏足が祀られている。日本で見る仏足石が指先を上に立っていると思えばいい。写真は禁止されているのでイメージを伝えるしかない。
拝んだ後は反対側の階段を下り、右に回り込んで鐘を叩く。これもまたお祈りだろう。
靴を脱いだ場所に戻り、参道が南から西に向きを変えた地点まで下りて、そこで日の出を待った。くっきりと太陽は上がらなかったものの、ご来光を見ることはできた。
夜が明けた道を下り、登山口まで戻った。登りは暗い中の歩だったので距離的に短く感じたのだが、明るい中の下りは意外に長かった。
登り4時間、下り2時間30分だった。
写真は順に、山頂への登り、山頂手前から見た登山口のナラタニヤ方面、夜明けの瞬間、ホテルから見たアダムスピークである。
2025/02/16