川北英隆のブログ

五月の風

今日は北風が強かった。日本の北部が西高東低の気圧配置になったからだ。こんな五月の一日、吉田山が素晴らしい。また、上越国境の山を思い出す。
研究室から吉田山を見ているだけで、今日は風が強いとわかる。新緑の季節から少し日が経っている今、風が強いと吉田山や大文字山の様相が変わる。山の木々が代わる代わる少し白く見える。まるで波頭のようだ。というのも、風で広葉樹の葉の裏側が見えるからである。新緑の頃と違い、木々の葉が固くなってきているのだろう。風のリズムによって山のあちこちが白くなるのは、見ていて飽きない。講義がなければ、多分ずっと見ているかもしれない。そんなことをしていると研究室に居られなくなるかもしれないが。
この季節、20年以上も前だが、上越国境の村の葬式に出たことがあった。昔、三国街道の宿場町だった村である。その日も北から吹く風が村を囲う大きな木々の葉を揺らしていた。その風が、上越のまだ白い山を越えてきたのだと思うと、葬式の後、北に三国街道をたどって峠を越えたくなった。それからだと思うが、何年間か、上越の山を集中的に登ってみたものだ。

2009/05/14


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