川北英隆のブログ

金融緩和、引締め?

日経新聞の大機小機に「日銀はもっと国債を買って金融緩和をしろ」との趣旨の意見が掲載されていた。それとは逆に、4月の日銀の政策決定会合で、金融緩和に終止符を打つべきだとの趣旨の委員の意見があったという。どちらが正しいのか。
感覚として、この時期にこれ以上の緩和を主張するのは正しくない。大機小機の意見は多分、金融緩和によって利益を得る関係者だろう。さもなければ、かなりの思い込みだと思う。金融緩和に終止符を打つべきだという「出口」を探る意見は、多少時期尚早かもしれないが、流れとしては正しいのではないか。つまり、現時点で打ち出されているさまざまな金融緩和政策を「いつ、どのような手順で」収束するのかをイメージしておくことが正しいスタンスである。
経済の現状からして、海外経済が回復のプロセスに入れば(そのプロセスに入ったと考えているが)、日本経済も上向く。その時期に、さらなる緩和を考えるのは、消火を終えた火事にさらに大量の水をかけるに等しい(以前、政府の株価対策に関しても類似の比喩をした)。もう少し言えば、現在の日本経済には自律的な回復力が欠如している。その中、金融政策は企業の資金繰りを助けることで、経済活動をより一層悪化させないための方策でしかない。その企業の資金繰りが落ち着きを取り戻したわけだから、これ以上の措置は過剰な対応である。かえって禍根を残してしまう。
日本経済の活力を削いでいるのは、経営者の政府頼みに象徴される他力本願である。政府が何とかする、大学が何とかする、彼らが何とかしないから経済活動や学力が低迷していると思い込む風潮である。もしも政府や大学かアホであるのなら、そんなものを無視して、また無視できるような環境を自分で作って、行動すべきではないのか。政府や大学のトップの首をすげかえるくらいの意欲が欲しいものだ。

2009/05/27


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