川北英隆のブログ

GMの崩壊

ついにGMが崩壊した。どのような混乱が生じるのか。当日の市場はかえって好感したようだ。大きくて潰せないという、経営者にとっての安心材料も崩壊したことになる。
GMは縮小均衡を図り、早期に経営を立て直す方針という。不要なブランドを売り払うにしろ、工場を閉鎖するにしろ、超巨大なGMは消滅する。適正規模を目指すということだ。
実のところ、GMの崩壊はほぼ必然だった。昨年10月、9月のリーマンショックによって世界経済が大打撃を受けたすぐ後のこと、経済情勢を数人で議論したことがあった。その時の設問の1つが、ビッグスリーを潰すことができるか、潰れたとしてアメリカ経済が持ちこたえられるかというものだった。その時の結論は、アメリカ国内で自動車の生産設備が過剰であるから、潰れてもマクロ的な影響は少ない、ミクロ的な影響というか混乱をいかに防止するかに政策課題があるというものだった。
不要な、役に立たない設備は、たとえその設備の保有者がだれであっても、巨大企業であっても、廃棄されることが望ましい。自分で廃棄できない場合は、強制的な廃棄でもいい。場合によっては企業全体が「廃棄」されることもあろう。不要な設備の廃棄に躊躇していつまでも大事にするのは、年寄りがゴミと思えるものを捨てないため、家中が足の踏み場もない状態になるのと一緒である。
そういえば、自宅の近くにある大手スーパー系の店がある。品揃えが悪く、レジの効率も悪い。近くの浮浪者が自由に出入りして品物に手を触れるのだが、店員は何一つ注意しない。一方、その大手スーパーの立て直しに一役買ったという「経営者」の自慢話が本になったこともあったし、新聞のコラムに登場したこともあった。世の中の目は節穴なのだろうか。大きくて潰せなかったスーパーも、もっと整理した方がよかったと思える。

2009/06/02


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