川北英隆のブログ

鴨川でカモが溺れる

京都は昨夜から雨が降り続いていた。大雨が好きなので、今朝は少し早く起き、鴨川に沿って研究室まで歩いた。鴨川は最近では見たことのないくらい増水しており、河川敷の歩道の一部が水に浸かっていた。
鴨川には所々、数十センチの段差がある。今日は水かさの増した濁流のため、段差があるとは思えないくらいになっていた。流れが大きくうねり、渦になっているため、そこに段差らしきものがあると分かる程度である。
対岸の歩道には警察官がいて、時折走る自転車を止め、堤防の上の歩道に誘導していた。理由はすぐに分かった。歩道が丸太町通りの橋をくぐるとき、1メートルくらい低くなる。その橋の下の歩道が水に浸かっていたからである。という歩行者も、歩道を使って橋の下をくぐれない。長靴を履いてきたわけでもないので、仕方なしに一度丸太町通りまで上がり、車道を横切って、もう一度歩道に戻った。
丸太町通りの下にはこっそりと1人の優雅人が暮らしているが、その彼が段ボールを抱えていた。水に浸かってしまった「お家」の部材というか、床か布団である。どうするのか、少し不安になったが、予想通り、濁流にほかした。「とんでもないやつや」。
歩道にはカモやサギが避難している。河原を寝床にしているのだろうが、濁流の下になってしまったから、歩道にまで上がってきたわけだ。そんなカモの中には、散歩の犬などに驚き(こんな日にも河原を散歩させてもらっている犬が何匹かいる)、対岸の歩道に飛び立つのがいる。
「さすがに濁流の上には降りないのやな」と思っていると、濁流の中にカモが一羽浮いていた。サーファー気取りで楽しんでいるのかと思ったが、その瞬間、羽ばたき、飛び立とうとする。しかし、波に足や羽をとられ、飛び立てない。何回も試みたが、やはり無理。要は溺れかけているわけだ。誤って濁流に降りてしまったのだろう。どうするのかと思って見ていると、対岸めがけてバタバタと濁流を横切り始めた。カモフィンキックみたいなものだ。河川の段差によってできた濁流の渦に飲み込まれる寸前で、対岸にたどり着いた。渦に飲み込まれると、いくらカモでも溺れただろう。石垣を登る姿を確認し、観察終わり。
やはり「見世物」が好きなのかなと思いつつ、強まった雨脚にズボンをすっかり濡らし、こちらは研究室にたどり着いた。

2010/07/14


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