川北英隆のブログ

短観:予想通り下期に不安

9/29、9月調査の短観が発表された。内容はほぼ予想通りだった。上期の業況は良かったが、下期に腰折しそうな雰囲気である。
予想通りだったので、短観の内容について繰り返すのはよしておく。大企業の業況判断DIが、足元では製造業、非製造業ともプラスに浮上したが、下期はともにマイナスに沈んでしまいそうなことに、今回の発表結果のすべてが集約されている。
下期に腰折しそうな背景は、円高と、輸出数量の増加の頭打ちである。貿易統計を用い、輸出数量と輸出金額について地域別に3ヵ月移動平均を計算してみると、次のことが判明する。依頼されて書いた原稿を引用しておく。
「輸出数量指数(3ヵ月移動平均)は今年の春以降、回復のスピードが低下している。それまで日本の輸出を牽引してきた中国をはじめとするアジア向けに停滞感があることと、アメリカ向け、EU向けの回復の足並みが不揃いである。この点は、輸出金額指数(円ベース)により顕著である。今年5月以降、輸出金額は頭打ちからむしろ低下気味であるようにも見える。」
輸出金額は輸出数量と為替レートの影響を大きく受けるから、円高を反映して頭打ち傾向が顕著なわけだ。そして、企業業績に直接影響するのは当然、金額ベースである。日本の場合、リーマンショックからの回復は輸出に引っ張られてきた。その輸出が変調をきたしている可能性がある。景気について、要注意の段階に入ったと考えるべきだろう。

2010/09/30


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