川北英隆のブログ

定年後の資産運用5

国債リスクが顕在化した場合、個人にとっての問題はいくつもある。そのうち、年金をはじめとする保有資産の目減りと、勤めている企業の倒産が最大の問題だろう。
まず、定年後の資産運用に関して保有資産の目減りは、公的年金・企業年金と、個人の名義になっている資産とに分けて考えなければならない。
前者の公的年金・企業年金は自主的に対応する方法がない。やれることは年金額がカットされることを十分想定して行動するだけだ。この点については「定年後のポートフォリオ3」で書いた。
後者の個人資産は、できるだけ目減りしない資産に逃避するしかない。海外資産の保有が典型的だろう。この点は「定年後のポートフォリオ2」で書いた。国内資産であっても実物資産であれば、その保有は一考に値する。耕作地をイメージすればいい。「円」の価値がどのようになろうとも、そこで収穫できるりんご1個の価値は1個のままである。もっとも、実物資産の場合、換金性に乏しいが。
次に、勤めている企業の倒産や、倒産しないまでも大混乱することである。要するに、職を失う可能性がある。この対応策はいくつか考えられる。
1つは、職を思いっきり変えることである。上で述べたように耕作地の価値に変化ないとすれば、農業に転向するのが一策である。しかも、田舎に行けば農地が余っている。婿入り、嫁入りして農家の後継者になり、食料を生産すれば、生活は安泰だ。もっとも、そのためには体を鍛えておかなければならない。
もう1つの対応策である。これは、日本の技術力はまだまだ捨てたものではないから、傾いた企業の相当数は海外資本の傘下に入るだろう。このことを想定した対応だ。その時に新たな就職先を探すチャンスが到来するから、それを生かせばいい。とはいえ、英語力と実務能力が問われることは間違いない。この対応もまた、転職のための自己能力の涵養がポイントとなる。
以上が生じることは暗い世の中だろうか。そうは思えない。世の中が大きく変化する時には大きなチャンスが転がっている。平和な時には誰もが鵜の目鷹の目でチャンスを狙っているが、混乱期には見逃されたチャンスが多い。それどころか、自分でチャンスをいくらでも作れる。大阪人的に言えば、ゼニの花を咲かせる千載一遇のチャンス到来となる。混乱がなければ、企業も政治も社会も変革しないし、発展しない。「定年後の資産運用」なんて消極的スタンスではいけない。
個人的には、齢60になり、座して死を待つのみか思っていたが(かといってじっと座っているのは大嫌いだが)、血湧き肉躍る歴史的出来事に遭遇できる可能性が増してきた。そう思うと、わくわくしてしまう。なんて。

2011/03/09


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