川北英隆のブログ

東京電力の評価

東京電力が再び風雲急である。東証の斉藤はんが「日本航空の場合のように、国有化と上場廃止を求め、銀行の債務放棄が望ましい」との主旨の発言をしたことがきっかけである。
当初、エダルはんが言ったように銀行の債務放棄を求めるのなら、法的にはその前に株主の負担すなわち減資が必要となる。今回の東電の負担の大きさからすると、100%減資も視野に入るだろう。また、政府の負担軽減という政策からすると(政府が無責任だとは到底言えないから、この政策が妥当だとは思えないが)、100%減資もありえるだろう。民主党と自民党の大連立が実現すると、この方向に舵が切られかねない。このかぎりにおいて、市場に流通している社債にも、当初に約束された元利金が支払われない、すなわちデフォルトに陥る可能性が迫ってきた。
以上が客観的な状況だろう。もちろん、上で評価したとおりに運ぶとは断定できないことを急いで付け加えておきたい。変に「某ブログでは・・・」と言われないための予防措置である。面倒な世の中だ。
もう一言。斉藤はんの発言は、その発言のタイミングと内容において不適切だと言っておきたい。株式市場の最高責任者が軽々に上場廃止に向けた発言をしていいものだろうか。「ノーコメナント」が正しい対応だと思う。何か具体的に発言したい気持ちは十分理解できるが、立場として非常にまずいに決まっている。こういう責任者が日本に増えてきたのは困った現象だ。

2011/06/06


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