川北英隆のブログ

一番気持ち悪いものは

気持ち悪いものはいろいろある。やはり、ぬるりとしたものか。とはいえ、トロロやナマコは美味い。どういう「ぬるり」かで感覚の差が生じる。その点、100%気持ち悪いものがある。
それは何か。わざと大阪言葉というか、関西言葉にみせかける放送である。イントネーションが完全に関東訛りで、単語だけ関西風というのが最低だ。
と書くのも、今夜、そういう放送をちらっと見て倒れそうになったから。それもナレーションが関西言葉を模していた。「そんなんやったら、適切な関西出身のナレーション役はいくらでもいるやろに」と思う。芝居で役者が変な関西言葉を喋る分には、それが女性なら「顔に免じて許したろか」と思うこともあるだろうが、いくらなんでもナレーションでは無理だ。「肥え美人違うな、声美人」、つまり「声だけ美人」というものもあることだし。制作費をケチっているとしか思えない。
と言いながらも、東京での生活経験が30年を越すと、すっかり東京訛りに染まってしまった。普通に普通の人と喋っていて、何か(「なんか」と読む)の拍子に出身が奈良だと言うと、「しかし、訛りがないですね」と言われることが多くなってきた。これが最大のショックである。言葉が変に訛ってしまっていると指摘されたわけだから。
関西に戻ってすぐの頃、講義に関西風のセリフを入れたこともあるが(たとえば、高利貸しの借金の取立てのマネとかで)、それも最近では飽きてしまった。違う方法で関西の正統な言葉を喋り、それを残す工夫が必要なようだ。

2011/06/14


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