川北英隆のブログ

オリンパス事件に思う

大王製紙とオリンパスにお家騒動発生だ。大王製紙の場合は古典的であり、まさしくお家騒動だ。一方、オリンパスの方はどうなっているのか、依然として霧が晴れない。というか闇が深い。
解任されたウッドフォード氏が社長(社長執行役員)に就任したのは今年の4/1、6月の株主総会で代表取締役に選任された。その以前はオリンパス・ヨーロッパの社長だった。
それが突如、10/14の取締役会で代表権と社長執行権を解かれた。ウッドフォード氏は議決に参加せず、他の取締役は全員賛成だと発表されている。新しい社長には会長であり、直前の社長だった菊川氏が復帰した。しかし、その後も混乱が続き、10/26には菊川氏に代わって専務だった高山氏が社長に就任すると発表された。
混乱の背景にはオリンパスの過去の2つの企業買収が関係している。
1つは、日本の企業3社である。3社とも東京の同じ住所に本社があり、プラスチックの油化、食品容器製造、健康食品・化粧品の会社である。2006年から08にかけ、734億円で買収したという。
もう1は、海外での企業買収(ジャイラス社、高周波を使った低浸襲治療:体に対する負担を減らす手術治療の方法:に強いとオリンパスが評価した企業)である。買収金額9.35億ポンド(2007年11月19日買収決議当時のポンドレート227円で換算して2122億円)に達し、その仲介手数料として、最終的に690億円を支払っている。通常の感覚では異常に高い手数料である。これに関して、10/27にオリンパスは釈明的な追加情報を公開している。
オリンパスの主力事業は、かつてはカメラだったが、現在は内視鏡である。ここから考えると、国内3社の買収は気が狂ったか道楽としか思えない。海外での買収は成功したかどうかは不明ながら(財務諸表から判断するかぎり、利益を生んでいるとは見受けられない)、本業には沿っている。しかし、手数料が高すぎる。外部から来たウッドフォード氏が疑問を感じたのは当然と思える。
なお、オリンパスには社外取締役がいる。順天堂、日経新聞、証券会社(野村證券・パリバ・クレジスイス)出身の3人である。社外監査役としてコパル、三菱レーヨン出身の2人である。彼らが一連の議案をどう判断したのか、知りたいものだ。この事件に関する情報が増えれば、もう一度考えてみたい。

2011/10/27


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