川北英隆のブログ

日本銀行の影響力をめぐる誤解

今日のネット上の日経新聞にあったのは、「市場が再認識した'やっぱり円安・株高は日銀次第'」、とのニュースである。ネット講読していないし、講読の夕刊もまじめに読まないので、その意図は不明だ。
記事の意図を理解しないままに少しコメントしておきたい。
金利水準、株価、外国為替レートの本来の水準を決定するのは中央銀行ではないとの事実を強調すべきだろう。日本銀行をはじめとする中央銀行の役割は、経済が本来の軌道を外さないようにコントロールすることでしかない。意志を持って最初に行動するのが企業や個人であり、それを監視するのが中央銀行である。中央銀行が経済の道筋を決めると考えているとすれば、それは社会主義的な経済を翼賛することでしかない。
そもそも、金融政策が経済の活動水準を決定すると考えることも間違いである。現在の日本の多くの政治家は完全に勘違いしているようだが、金融はあくまでも実体経済すなわち物の生産や流通の潤滑油でしかない。製造業やサービス業が本気を出して活動しないかぎり、いくら金融が力んだところで何の結果も生じない。
今日のニュースに戻ると、外国為替レートや株価を決定するのは、日本経済と海外経済とを比べてどちらが魅力的か、企業は株主を満足させるほど儲けているのかという実態の比較である。日本銀行がどう行動したのかは、日本経済の魅力度や企業活動に間接的に影響するにすぎない。
そういえば昔、僕自身、年度末好例の人事異動にあまり大きな関心を示さなかったことを思い出した。人事異動によって上司が誰になるのか、部下に誰が来るのかは関心事項だったが、それが決定的に重要ではない。自分自身が何をし、何ができるのかが最重要なはずである。
中央銀行の役割はそれと同じだと思う。もちろん、軽視もしくは無視してはいないが、かといって中央銀行が狂わないかぎり、ある意味で「空気か水のようなもの」だと思う。

2012/03/14


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