川北英隆のブログ

時価総額の重要性を認識すべき

はるか以前、「時価総額を、決算短信や有価証券報告書などの開示資料に記載すべき」と書いたように思うが、改めてその重要性を強調しておく。時価総額の開示は市場関係者のセンスの問題である。
開示資料は、上場企業が期末にどのような状態にあるのかを示している。年々分厚くなっているが、一番肝心の情報がなかなか的確に得られない。その最たるものが、当該企業の期末の時価総額である。時価総額と、期末の株主資本総額とを比較することで(すなわちPBRを計算することで)、「投資家がその企業をどのように評価しているのか」が一目瞭然となる。
6/2にも書いたが、確認しておくと、「PBRが1倍を割れる状態は、事業に投下した資産が、その資産を取得するのに必要なコスト未満の利益しかもたらさない」ことを多くの場合、意味している。時価総額を開示資料に記載することで、経営者の認識が変わるはずだし、変わって欲しい。それとも、見たくないのかも。
個人投資家にとっても、期末のPBRを、それも長期間計算することはかなり面倒な作業になる。「そんなことないやろ」と少し知識のある市場関係者や企業は言うのだが、「長期投資家の立場から自分で一から計算してみたらどうや」と反論したくなる。株価に権利落ちがあった場合、「本当にこの数値を用いていいんかな」との疑問を含めて、確かめないといけないことが多いはずだ。僕自身、自分で計算しようとして迷ったのも事実だから。
それにもかかわらず、開示資料には無駄な情報もいろいろある。時価総額に関連して指摘しておくと、株価推移(月間高安)などという、中途半端な情報さえある。
あの分厚い有価証券報告書を、一般の投資家はどこまで活用しているのか。また、活用できるのか。決算短信はそれを真似ているだけだし。いずれにしても、すかっとしたものにしてほしいものだ。

2012/06/15


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