川北英隆のブログ

ニュース量解析による株価予想

今日の日経新聞に「ビッグデータで株価など予想」との見出しがあった。インターネット上の株価関連のキーワードを集積、分析することで、株価もしくは株価関連数値を予想する手法だ。
この手法は以前から注目されていた。パソコンなどの計算能力がアップしたからである。その領域に日本IBMが進出しようとしているらしい。今日の新聞からはそう読める。
この手の分析の問題点は、市場追随的となり、株価の波動を増幅させかねないことだ。要するに人気を予想し、その予想に基づいて投資をするわけだから。少し説明しておく。
「◯◯が良くなっているようだ」とのニュースの多さが株価を上げるとすれば、何が生じるのか。景気が良い時には、景気が良いことを強調する記事が多くなる。それに反する記事は書きにくいし、そもそも景気の反転を示唆する現象を隠してしまう。誰も気づかないから、株価は上昇を続ける。何らかの要因で景気の反転が表面化すると、株価にサプライズが生じ、暴落する。
言い換えれば、日本IBM的な分析は、世の中が何に注目しているのかを分析して株式の売買信号を出すわけだから、市場追随的な投資になってしまう。下手なサッカーチームが全員ボールだけを追いかけるのと同じである。短期的には儲かる可能性が高いかもしれないが、市場の波動の反転にどこまで対応できるのか。対応できないとすれば、その時点で大損する可能性が高い。また、日本IBM的な分析で売買する投資家が多くなれば、それによって株価の波動が増幅され、バブルやバブル崩壊(逆バブル)が生じかねない。
この手の分析を1つの参考情報にするのならともかく、全面依存は禁物だろう。

2012/06/15


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