川北英隆のブログ

大型公募増資の公表と株価

ニュースによると、川崎汽船と全日空が大型の公募増資を行うという。「新株式による資金調達は売り材料」と書いた手前、両社の株価を見てみた。やはり、「その通り」である。
川崎汽船は昨日の引け後のニュースだった。全日空は今日のニュースであり、夕方に会社側が正式に公表した。
川崎汽船は1.74億株の新株の発行を行い、状況によってはこれを2億株まで増やすという。現在の発行株式数は7.65億株だから、2億株の新株発行となると相当のインパクトである。時価総額は1200億円程度、最近は赤字がかさんでいる。典型的な「窮地での増資」と見られかねない。今日の株価は14.65%安の134円である。
全日空(全日本空輸)は10億株の新株の発行を行うとのこと。現在の発行株式数は25.2億株であるから、川崎汽船以上に希薄化が進む。時価総額は5650億円程度である。業績は黒字が何とか続き、総資産営業利益率は5%弱と高くはない。「収益力が高くないのに、何故、コストの高い株式での資金調達なのか、コストを払えるのか」と言われかねない。今日の株価は13.84%安の193円である。
やはり、理論は生きている。日本の株式市場というか投資家が正常に反応していることになる。これに対して、企業経営者は何を考えているのかだろうか。もっといい資金調達の方法がなかったのか、反省し、再考すべきだろう。

2012/07/03


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