川北英隆のブログ

衝撃の貿易統計2012年9月

先月、9月の貿易統計が公表された。これを受け、円売りが仕掛けられたと報じられている。貿易統計の数字をつぶさに見るかぎり、当然のような気がする。
一番の衝撃(?)は、9月という季節的に輸出が増大する月にもかかわらず、それが大した額でなかったことと、片方で輸入が高水準を続けていることである。この結果、輸出入の差額(季節調整後)が9800億円の赤字と、ほぼ1兆円の大台に迫った。
輸出入差額の赤字は2011年3月以降ずっと続いており、かつ9月の赤字幅はこの間の最高額を大きく更新してしまった。貿易の赤字は大震災に伴う一過性のものであり、徐々に解消していくだろうとの希望的観測を完全に裏切ってきている。原発が停止している影響が大きいとはいえ、いつそれが再稼働するか予断を許さずに電力の供給の不安定さは続いて、かつ価格も上がるとなると、製造業が日本で生産を続ける理由が消失していく。「原発停止が一時的」との見通しが間違っていたことは、「貿易の赤字は一過性」という見通しも間違っていたことに等しい。
以上の全体的な評価はともかく、9月の数字を見ておこう。輸入額は燃料価格の上昇が止まったこともあり、5月のピーク水準よりも下回っている。しかし、依然として鉱物性燃料の輸入額は高水準であり、かつ電気機器や輸送用機器の輸入も高水準である。これに対して輸出は、ほぼ全品目での減少が顕著となってきた。新聞で報じられているようにヨーロッパ向けの低調が続き、アジア向けも減少基調となり、これまで下支えしてきたアメリカ向けが冴えなくなってきたためである。
中国向けが尖閣問題からますます厳しさを増しているとすれば、10月の輸出入差額の赤字幅は拡大こそすれ、大きな縮小は見込めそうにない。

2012/10/22


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