川北英隆のブログ

パナソニックの凋落と予兆

10月31日、今期の業績が巨額の赤字に陥るため、無配にするとパナソニックが発表した。当然株価が急落、50万人もいる株主が泣いているか怒っている。経営者は個人株主の思いを心底知るべきだ。
というのも、2010年10月4日のブログに書いたように、大衆が顧客であるはずのパナソニックの経営が、大いなる味方であるはずの大衆株主を無視しているから。わずかなゼニにしがみつく経営者の指揮下にあるのが、その当時のパナソニックだと感じた。
断っておくが、元々パナソニックが嫌いなわけでない。今年の9月13日に書いたように、実家は松下電産の株式で儲けたし、子供の頃の家電はナショナル一色だった。そんな大衆に好かれる会社にできるだけ早く戻って欲しいと思っている。
このパナソニックがここまで凋落するとは、多くの投資家は思っていなかっただろう。しかし、予兆はあった。
1つが上のブログで指摘した、松下電産(あえてパナソニックとは書かない)と松下電工の合併に際して、公開買付を受け付ける証券会社の窓口を限定したことである。50万人も株主がいる大会社なのに「なんてみみちい」と思った。発想が姑息過ぎる。
もう1つは、僕が参加する会議での関係者の発言である。官僚的であり、自己の利益だけを強く意識している。多少の犠牲を払ってでも社会全体の利益を図るという発想がない。これでは、いざという場合、肉を切らせて骨を切る大胆な経営もできないと思った。
最後が、女性の感というか、長年経営者と対話してきた投資家の直感である。グッドバンカーの筑紫みずえ社長と話をしていると、前の大坪社長(2006年6月-12年6月)の時代になり、パナソニックが変わったとの評価を聞いた。社会的責任に対する意識が弱くなったとの意味である。そして、「今後のパナソニック株は要注意」と。
このブログをパナソニックの関係者が読んでいるのかどうかは知らない。読んでいれば、松下電産が全盛だった当時の、大衆を向いた発想を思い出し、大衆に愛される会社になって欲しいと伝えたい。投資家には、パナソニックが株主を向くのかどうか、今後の情報開示やIRの姿勢に注目すべきだと伝えたい。
山は秋、大きな朴の葉が落ちている。天下の秋だろうか。春になって、朴に大きな葉が出てくるだろうか。そして白く芳しい花を咲かせるだろうか。

2012/11/03


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