川北英隆のブログ

相続:金融機関の後進性

相続手続きの続きである。相続でも何でも、すべての機関が最善を尽くそうとし、さらに他の機関への信頼度を低く見積もっている。このため、負担が相続者にしわ寄せされる。自己中心的である。
相続税の申告が終わっていなければともかくも、終わっていると、相続財産に関する「分割協議書」が整っている。また、この税務申告に関して戸籍や印鑑証明の書類も揃えられている。僕は、それらが「ある」ことを基準に手続きが進められるものと思っていたから、昨年9月末で相続税に関する申告を終え、「これで済んだ」と安堵してしまった。しかし、実はそうではなかった。
10月に入り、不動産の登記のために追加で書類が必要になったことには、「不動産なのだからしぁあない」と納得した。しかし、預金、郵便貯金、証券などに関する相続手続きには閉口している。相続税の申告と類似の公的書類が次々に要求されるからだ。そのたびに、相続人である母親や妹の自署と登録した印鑑の押印が必要となる。「自署」を他人が書いた分には、訂正して「自署のサイン」が求められた。母親は高齢だから、自著をさせるにも大変である。実家に直接出向き、指示しないといけない。郵便のやり取りでは不可能である。だから、長い時間が必要となっている。さらに言えば、母親がもっと高齢になって字が書けなくなると、「どうしろ」と言うのだろう。
そもそも、分割協議書があり、それに沿った個別の相続の手続きをしているのだから、相続税に関する申告書一式を金融機関に提示すれば十分ではないのか。預貯金の名義書換に関する金融機関独自の書類は仕方ないとしても、それ以上の書類を金融機関は求め過ぎである。
そこで、手続きに関してひどい(負担を強いる)順に並べると、郵貯、農協、銀行、証券会社だろうか。生命保険に関する遺産はなかったので、順番付けしていない。
これでは日本の金融機関はコスト倒れになる。顧客も逃げる。これこそ何とかした方がいいだろう。

2013/01/04


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