川北英隆のブログ

ヘルスケアリートの将来

知る人ぞ知る、でも傍聴の多かったヘルスケアリートの、正式名は長すぎて覚えきれない検討会が一応の終了をみた。昨年10月から4回の会合を開いた。もうすぐ検討会の報告書が公表される。
実のところ、編著書「証券化―新たな使命とリスクの検証」では、リート(REIT、不動産投資信託)に対して好意的に書いていない。それなのに何故、ヘルスケアリートの検討会に、それも座長として参加したのか、最初から賛成票を投じているではないかとの批判が出てきそうだ。
リートは使い方によっては有効な手段となりうると思ったことと、実家の両親を見ていて介護に関する施設の充実が社会的に重要だと思ったことが理由にある。加えて、国土交通省のヘルスケアリートに関する検討事業を受託した研究所(中井生活経済研究所)が、信頼に足りたからである。さらに言うと、完全に否定的でないかぎり議論に加わり、改善策を伝えるに越したことはない。
結果はどうだったのか。検討会は予定調和的なものではなかった。予測できない発言がいろいろとあった。結果として、介護をはじめとするヘルスケアに関する僕自身の知識があまりなかったことと(いつもの反省だが)、関係者の立場によってヘルスケアとその資金調達に関する考え方に差異が大きいことを勉強した。
とはいえ、この問題は基本に立ち戻らないといけない。老人になった時の理想は何なのかを考えることである。住居の近くに医師や介護士がいてほしい。長年住み慣れた場所から離れたくない。知人が近くにいてほしい。費用はできるだけ安価であってほしい。これが日本人としての本音だろうか。
この理想を完全に叶えることは難しいだろうが、工夫によっては接近できる。大規模な集合住宅を建設し、リタイアした頃から入居してもらい、その住居の近くに医療施設を整える。そこに介護の施設も設ける。このようなインフラをトータルとして販売してはどうなのか。ここにリートの役割もある。
戸建であっても、京都程度の小さな都市に住んでいればある程度は理想に近いと思うものの、完全ではない。この点、リートの機能を活用し、規模の経済を働かせることができれば、老人の理想に接近しつつ、ヘルスケア施設としての採算をとることが可能だと思える。規模を考えると、都市再生機構(UR)などが需要を先取りし、広い意味でのヘルスケアリートに参入すればどうなのか。
ニーズのあるところにチャンスがある。チャンスを活かせればニーズも満たせる。検討会の報告書を読み、それを商売に活かすも良し、ヘルスケアのニーズの理想を追求するも良し。互いに切磋琢磨することで、日本の老人社会が必ず発展するだろうと期待している。

2013/03/12


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