川北英隆のブログ

懲りずにまたまたバブルか

今日の日経の夕刊をパっと見て呆れてしまった。と読み、「何のこっちゃ」と思ったのなら素人だ。夕刊の一面の左上に「事業会社も販売対象」とのことで「私募REIT資産規模拡大へ」とある。
これを読み、何で事業会社が不動産投資なのかと思った次第である。ここで「ははん」と来なければ、酒井くにお・とおるではないが「もう、ははんと来るとこがないよ」。
1980年代後半のバブルの頃、値上がり益に魅せられ、事業会社は多額の不動産投資と株式投資を行った。これがその後のバブル崩壊により、塗炭の苦しみを生み出したわけだ。そこでREITだが、ある程度分散されているとはいえ、不動産投資に変わりない。そんなものに事業会社があえて投資してどうするのだろう。
REITを運営する会社にすれば、白猫でも黒猫でも(ヤマトではないものの)、REITを買ってくれればそれでOKである。販売したが最後、ほとんど利益を確保できる。しかし、投資した側はそうはいかない。
一方、事業会社として、積み上げた利益をそんなアホなこと(ど素人なのに財テク)に使ってどうするのだろう。それなら「とっとと配当しろや」である。まあ、ひょっとして、年金資金で買わすのだろうか。それでも量的な限界があるはずだし、そもそも厚生年金基金は廃止の方向にあるから、いまさらREITへの投資なのだろうか。
そこで思うのが、中立的な立場で書くべき新聞が、「(REITの)資産規模の拡大に弾みがつきそうだ」なんて書いてどうするのだろう。
こんな現状を見ると、アベノミクスがアベノバブルだと思えてならない。まあ、今のところミニバブルだろうが。いずれにせよ、何でもいいから拡大志向を目指すのではなく、教養が重要な記者として、少なくとも歴史から善悪を学んでほしいものだ。知り合いの記者が書いたのなら、「御免なさい」だが。

2013/08/05


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