川北英隆のブログ

現代の錬金術ビットコイン

流行の追随をしているようで申し訳ないものの、ビッドコインについて一言書いておかないといけないと思い、ブログしておく。表題のとおり、錬金術だと思うし、結局は金を作り出せなかった。
ビットコインはコンピュータによって作り出された(計算された)「物」である。計算の結果だから、現物が目に見えるわけでない。また、計算の結果として、数量に限界があるとされる。この意味で「金」に近いと評価されている。「でも」である。
ビットコインはコンピュータが生み出したものだから、ネット上で簡単に所有権を移転できる。だから、決済に使える点が最大のメリットとされる。この意味で通貨とも思える。
一方、通常の通貨が有している「価値の表象」、つまり「この品物は何円と表現できる」機能と、「価値の保全」、つまり「錆びず、腐らず、1年後でも、10年後でも、いつでも使える」機能はどうなのか。
前者の機能は考えようだろう。金と同様、誰もがビットコインを信頼すれば、物々交換をせずに、すべての商品を、ビットコインの受け渡しだけで手に入れることが可能となる。
後者は、まさに現在、報道されているように「真似されてしまう」「簡単に盗まれる」のであれば、それは「腐った」のと同じである。コンピュータの技術は日進月歩であり、そもそも人間が作ったものだから、他の人間がその技術を真似、さらに上回ることは十分に想定される。暗号が解読されるのと同じであり、その暗号の安全性をいかに担保するのか喧しいことを思い出せば、ビットコインがあっと言う間に腐るのは至極当然だろう。
そして、腐るのであれば信頼性に乏しい。信頼性に乏しいのであれば、それを商品の入手に用いることが難しくなる。というのも、ビットコインを受け取ってくれる相手が誰もいなくなるのだから。
そもそも「金」が通貨だった歴史も不思議ではある。ニワトリと一緒で、人間も光るものが好きだったから、金が珍重されたのかもしれないと思っている。しかし、金がビットコインと違うのは、「錆びない」「腐らない」ことである。しかも、金はそれ以外にも物(金属)としてすぐれた特性を有している。まあ「珍重されるのもしぁあないか」と思う。
これに対して、ビットコインは金にはるかに及ばない。そもそも「珍重された」のは、決済性は付け足しであって、本当は価格が高騰したからではないのか。上がるから買う、買うから上がるの状態になった。これこそ典型的なビットコインバブル、ビビット恋バブルである。熱の覚めるのも早い。

2014/03/06


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