川北英隆のブログ

国際収支統計2014年2月

昨日、2月の国際収支統計が発表になった。2月の貿易統計が3月19日に公表されているので目新しさに乏しいものの、「経常収支の黒字を回復」としきりに報じられていたのが気になった。
最近の新聞の論調は、「円安は嬉しい」、「でも国際収支の赤字は困る」というもの。つまり、「国際収支が黒字のまま円安になって欲しい」という、わがままな願望が貫かれている。そう感じたのは、実は「2月の経常収支が黒字」と新聞紙上で喜ぶには、あまりにも時期尚早だからである。
経常収支は、確かに「生の数字」では6124億円の黒字である。しかし、季節性を考慮すれば(つまり季節調整後の数字では)414億円の赤字だと公表されている。もちろん、2月の数字は速報値であり、かつデータに季節調整を施すという数値の加工は、その後のデータの推移によって変動してしまうとの反論があろう。「生の数字で黒字」ということには一定の価値がある。
とはいえ、反論にもう一度反論しておけば、2月が黒字に戻った大きな要因は1月の経常収支の赤字幅が異常に大きかったことにある。中国の旧正月の影響と、日本の消費税引き上げを見越した駆け込み需要が1月の赤字幅を大きくした。2月の黒字はこれらの反動による側面も大きい。
一番素直なのは3ヵ月間の経常収支(生の数値)の平均値を計算してみることだろう。そうすると、1月の赤字と2月の黒字は打ち消しあい(赤字の方が大きく)、赤字基調が続いている。結論は、経常収支の赤字拡大傾向に歯止めがかかったとは依然として言えない状態にある。
最近の新聞には、良いとこ取りのバイアスが生じていると感じる。このため、「ほんまか」とつぶやきながら新聞を読んでいくしかないだろう。むしろ、新聞の記事を無批判に信じるなら、後で泥沼に足を突っ込んでしまったと反省することになってしまおう。

2014/04/09


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