川北英隆のブログ

貿易統計2014年4月

4月の貿易統計が公表された。当月の輸出入の差額は8088億円の輸入超過(赤字)であり、昨年4月(8774億円の輸入超過)と比べ、赤字幅が縮小している。赤字幅の縮小は20ヵ月ぶりである。
とはいえ、季節性を調整した数値で見ると、赤字幅は昨年4月よりも依然大きい。また、今年の初めに消費税引き上げ前の需要増加があり、これが前倒しの輸入をもたらしたことを考えれば、4月単月だけで判断するのは早計である。そこで、イレギュラーな輸入があると季節性の調整がうまくいかないこともあり、当月を含む3ヵ月の輸出入の差額を平均してみた。すると、赤字幅は昨年10月から12月の水準と同じ程度である。ここからも、もう少し様子をみないと赤字が改善に向かうかどうか判断できないと言える。
もう少し4月の輸出と輸入を分析しておきたい。
輸出額は横ばい圏ながら、前月と比べ少し回復している。輸出数量が、アジアとアメリカ向けを中心に少し反発したことの効果である。とはいえ、水準自身は高くない。
一方、輸入額は大きく減少した。もっとも、3ヵ月を均してみれば、昨年10月から12月の水準並みである。4月の輸入額減少は、数量が高水準ながら落ち込んだことと、価格も下落した影響である。4月の輸入価格の下落率が大きいことから、5月に反発することも予想できる。
以上、輸出の回復力は依然弱いと評価しておきたい。貿易の赤字幅が目に見えて縮小する状態でないことだけは確かである。

2014/05/21


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