川北英隆のブログ

真夏の大文字山の一日

昨日のこと、真夏の大文字山を歩いた。研究室に行く用事があり、そのついでというか、ついでに研究室に寄ったというか。台風が過ぎたものの、梅雨は明けず、薄曇りの一日だった。
研究室を出たのは夕方4時を過ぎていた。日差しが強くないだろうと、ポカリを400ccくらい持参した。市販の半分の薄さのものが運動に一番いい。
銀閣寺からの登りには朝鮮学園がある。日本人と変わらないのもいるし、明らかに朝鮮半島特有のがっしりした顔もある。子供の頃、工場の向かいに朝鮮系の同級生(女性)が住んでいた。時々工場に行ってふと見ると、その家の軒にニンニクが吊してあり、美味そうだった。日本のように差別の強い国で大人になり、どうしているのだろうと思いながら、山道を登った。
銀閣寺からの登山の手前は工事中である。昨年の台風で荒れた箇所の修復である。毎年の夏、日が陰るとヒグラシが涼しげだが、まだ時期が早いのだろう、沢の音しかなかった。
大文字の山頂付近は、いつも書くように、ツツドリやホトトギスの声がする。しかし、昨日はホトトギスの一声だけだった。「テッペンカケタカ、ハゲタカ、ヒデタカ」と言われたような。今年の夏は例年に比べてよく歩いているからか、頭皮も日焼けしているのを見咎められた可能性がある。生来、立派な帽子を持っているものの、その自慢の帽子が大分くたびれしまっているのかも。
下っているとリョウブの白い房状の花がたくさん咲いていた。実は10日前にも大文字を歩いたのだが、その時は咲いてなかったと思う。台風が紀伊半島の南端を通ったおかげで、関西の空梅雨に少しは雨が降り、季節が移ったのだろう。
昨日の大文字山を歩きながら期待したものがある。ヤマユリとカナブンである。ヤマユリは一度だけ大文字山で見かけたことがある。京都に来て最初の頃だった。それ以降はないから、少なくとも登山道付近では絶滅したのかもしれない。カナブンやクワガタは、ときたま見かける。実はクワガタをこの6月に見かけている。しかし、年々少なくなっていると感じている。
街に戻ると、こっちでは一昨日に書いた人型ゴキブリが、まだ日没に少し時間があって明るいというのに、すでにのさばっている。しかも橋の袂では歩道に陣取っている変な一団さえいた。「何や」と思うと、糠味噌の腐る、まったくバラバラのコーラスらしきことをやっている。つい「下手くそやな」とつぶやいてしまった。「まず、自分の姿と声を写してネットで見ろや」と思ってしまう。
夜中、ニイニイゼミが何匹か、鳴き出した。ポカリ400ccでは少な過ぎ、脱水症状の少し手前になっていたので、「体調不良のための耳鳴りか」とも思ったが、やはりセミで、時々ハモる。腐り気味の脳味噌を癒やしてくれていたのかもしれない。

2014/07/13


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