川北英隆のブログ

京都の店・いもぼう平野屋本家

「いもぼう」とは何か。エビイモと棒鱈を炊いたものである。知恩院から八坂神社にお参りすると(参る必要はないが)、この「いもぼう」の店が目立つ。今日は、その中の「本家」に出かけた。
前から「食べたい」と思っていた。そもそも、エビイモとは、棒鱈とはと、関西人以外から質問されそうである。
エビイモは京都独自の小芋といったところか。今日、平野屋の薀蓄を読むと、九州伝来だそうである。タロイモに近いのかもしれない。要するに、小芋よりもはるかに大きく、それでいて弾力があり、柔らかく、味わいもある。京都では普段に食べられる。
棒鱈とは、タラの干物である。大きい。錦市場など、正月用品として店先に並ぶ。食べられるサイズに切るのには硬いから、押切を使わないといけない。それに、大きいタラを使うからだろう、えらく高い。炊くのにも非常な手間がかかる。だから、僕としては好き食材なのだが、ほとんど幻に近い食べ物と言っていいかもしれない。
それで今日の、いもぼう平野屋本家である。夜の6時に予約した。昼間の商売なのだろう、店に一番乗りだった。しばらくして、隣の座敷に(襖越しの声から判断するに)、日本在住の外人の一家がやってきた程度か。
コースは一番安いものを予約していた。何が出てくるのか予想できなかったので。実際に出てきたのは、突き出し、刺し身、いもぼう、焼き魚、天ぷら、酢の物、ご飯、デザートだった。
その中で圧倒的にいもぼうが美味かった。他では食べられないこともあるし。しかしながら、量が少ない。エビイモが1つ、棒鱈が腹身の薄い部分が2つだった。「お代わり」と、つい言いそうになった。棒鱈が高いから仕方ないのか。
確認していないが、単品で注文できるのなら、いもぼうの丼盛りだけを注文するのがいいかも。それで熱燗をぐぐっと飲むと、日本人に生まれて良かったと思うだろう。

2014/12/22


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