川北英隆のブログ

日経平均2万円後の株価

月曜日、経済教室に日経平均が2万円を回復したことをどう評価するのか、執筆依頼に対してコメント記事を書いた。株価に対する評価は記事のとおりである。今後は業績が株価を追いかける番だろう。
記事に対して知り合いから何通かのメールをもらった。また当日、何人かに会うことになっていたので、ついでに「書いていたね」との指摘を受けた。
その時に喋ったことが一つだけある。それは、記事において比較的長く引用した一昨年11月の有識者会議報告書に関してである。限られた紙面で長く引用したのは、その報告書の公的年金ポートフォリオに対する意見に対し、皮肉を言いたかったからである。
そんなに急激に日本株式の比率を高めてどうするのか。GPIFの運用方針には「市場に対してインパクトを与えない」と書かれている。この基本的な方針に反することを行えと言っている。株式の比率を高めることに対して問題があるとは言わないまでも、公的年金が相場を演出することは大きな問題がある。
公的年金の巨大な規模の資金が「がんがん買うぞ」と宣言すれば、株価が反応するのは自然である。一方、公的年金はすぐさま目標水準まで株を買えない。高くなった株式を買わざるをえず、高値をつかむことになりかねない。
今日の日経5面、「131兆円の巨鯨 市場を動かす」と題した囲み記事には、公的年金の株式投資に対して「壮大な実験」との評価がなされていた。この実験との評価は十分ありうる。「でもね」と思うのは、国民が老後のために蓄えた資金を「つまらない実験に使うなや」「市場に任せておいてよかったのでは」と思う。
以上から、月曜日の経済教室は、皮肉というか、ひょっとして憤りを込めて書いたつもりである。

2015/04/29


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