川北英隆のブログ

コーポレートガバナンスの行方

東証が金融庁と合同で定めたコーポレートガバナンス・コードの実質的な適用が6月から開始する。3月期決算企業とすれば、6月末の株主総会を控え、「どうするのか」の意思決定が迫られている。
月曜日、東京で3つの用事をこなした。すべてがコーポレートガバナンス・コードに関係するものだった。別に意識したわけではなかったのだが。
そこでの議論と、他の情報を総合すると、次のようになろう。
1つは東証や金融庁が満足気なことである。東証の斉藤さんは「ライフワークを達成した」ような主旨のことを新聞で述べていた。両者とも手応えを感じているかのようである。
一方、多くの企業は横並び意識が強いようである。アドバイス機関に対して、「他社はどうしている」との問い合わせが非常に多いとか。そのコードに従う上での一番の問題は、独立社外取締役を2名選ぶことである。とはいえ、「お友達でもいい(厳格に独立性を要求しない)」ことを東証が認めたため、大企業にとっては案外クリアしやすくなっている。
投資家はどうかというと、まちまちのようである。感じるところでは、議決権行使をしても大きな効果がない、業績のヒアリングを従来通り重視する、他の投資家がやるから真似ないと仕方ない等である。
6月の株主総会では、上場企業全体として業績が良いから、コードに従うふりをするのは簡単だろう。問題は、業績に逆風が吹いた時である。とりあえずは6月に向けて関係者がどう行動するのかを見守ることとしたい。

2015/04/29


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