川北英隆のブログ

原発再稼働の差し止めに思う

4/14、関西電力の高浜原発再稼働に対して福井地裁が運転を禁じる仮処分を決定した。この決定を疑問視する声が強いようだが、個人的には国が福島原発事故をどこまで直視しているのか疑っている。
現在の国のスタンスは(民間企業である関西電力は当然として)当面の営利性に傾いている。もちろん「安全性の確保」のため原子力規制委員会での審議を経て再稼働を認めようとしているわけだが、審議会や委員会は適当に組織しようとすればそれが可能である。その審議があったからといって「絶対に正しい決定」とはかぎらない。
ましてや、自然災害に関する専門家の見識は、神(真理)から見ると無知というか、素人に近い。古文書などで1000年の歴史を、活断層の痕跡で・・と主張するのかもしれないが、地球の歴史からすると、わずか1000年、1万年・・でしかない。さらに、テロや海外からの攻撃も想定しないといけない。
個人的に思うのは、福井というか若狭湾に密集する原発の再稼働はヨシコさんだ。最大の理由は、琵琶湖にあまりにも近いことである。確率が非常に小さいとはいえ原発事故が生じれば、あっという間に琵琶湖が放射能で汚染されてしまう。そうなると、滋賀、京都、大阪は水源の喪失に見舞われる。
加えて、原発と琵琶湖の位置関係が悪い。東海道新幹線が米原(琵琶湖東岸、彦根と隣接)と関ヶ原(岐阜県)の間の雪に弱いのは、日本海、とくに若狭湾の雪雲が北西の季節風に乗り、低い山を越えて簡単に琵琶湖へ流れ込み、伊吹山の南側の切れ目を通って関ヶ原へ、名古屋へと達するからである。
このため、事故が冬に起きれば、放射性物質も簡単に琵琶湖に流れこむ。ついでに名古屋も巻き込まれかねない。福島の場合、不幸中の幸いだったのは、原発が東京の北東にあり、位置関係が比較的良かったことである。それでも首都圏に放射性物質が少し流れ込んだ。関西と名古屋の場合は、その比ではない。原子力規制委員会が真面目にこんな議論をしたとは聞いていない。
ということで、今の人知を超えた自然災害が生じ、原発が破壊されればどうなるのか。彦根の「ひこにゃん」が「(死の)灰だらけにゃんこ」になったらどうするんや、と思う次第である。
僕としては、少々の汚染なら、年が年だし、京都に住み続けたいとは思うものの、市が配水してくれるのかとか、商店街が消滅するのかなとか不安である。まあ、そんな非常事態になれば、廃墟となった清水寺か南禅寺にでも住み(沢の水が流れているから)、辺りで増えているシカでも狩り、野菜や米は寺院の庭園ででも栽培して生活するのかなと、イメージトレーニングしている。

2015/04/16


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