川北英隆のブログ

青田刈りをする企業のエゴ

ネットのニュースを見ていると、企業の採用活動の表現について、「青田買い、青田刈り」どちらが正しいのかという表題が目に入った。マイナビというサイトの記事である。笑ってしまった。
「青田は買うものであっても、刈るもんではないやろ」「刈ったら、そのまま牛の餌になるかもしれんけど、それだけで終わりやで」「でも、今の企業の行動は、青田刈りかも」と思ったからである。
ゼミの学生に聞くと、就職活動にえらく迷惑しているらしい。あの手この手で企業は早々と学生を集めている。だから勉強なんて手につかないと(そうでなくても学生はサボり気味なのに)、4回生はぶつぶつ言っている。
このとんでもない状態が、どうも7月末まで続くのではないかと学生は畏れ慄いている。しかも、わが大学の期末試験は8月初旬まである。で、8/1とその直後に内定が一斉に出されるから、「就活のため、期末試験の追試をしてほしい」との要望が殺到するのではと、教員も恐れ慄いている。幸い8/1は土曜日だから、8/3も「就活のため」という学生には、「そらアカン」と言うつもりだが。
思うに、今の就職は一生ものではない。キャリアパスとして、とりあえずどこかの企業に勤めることが多いだろう。じっくりと時間をかけ、企業を見定めることがどこまで必要なのか。それにじっくり見たところで、実際に企業で働かないと本当のことはわからない。そんなに悪くないと思えば、それで就職を決めればいい。
企業側も、中途採用をもっと積極化すべきである。一斉に新卒を採用する必然性がどこにあるのだろう。多分、「採用活動が省力化できる」からではと思うものの、省力化したとすれば、それで入ってくる人材が「安かろうではない、易かろう悪かろう」になる。
文科省、経団連等、関係者はもっと真剣に「青田刈り」を阻止する方法を工夫すべきである。

2015/05/24


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