川北英隆のブログ

山歩きとグリッシーニとウサギ

カナリア諸島の土産の1つがグリッシーニだった。カナリア諸島の土産である必然性はなく、イタリア生まれのスティクパンなのだが、これが意外に良かった。そもそもは山歩き用にと現地で買った。
カナリア諸島といえども辺境の地ではない。辺境の地の山登りでは現地人がポーターをやってくれるか、ロバやラクダの背に乗せて食料や荷物を運んでくれる。先進国のスペインでは(当然アメリカもそうだが)人件費が高く、そうはいかない。
だから、山登りの朝、ホテル近くのスーパーで各自が各自の食品を買い出しした。そこで僕はパン類としてグリッシーニを買った。軽い上に、歩きながらでも食べられる。その残りを日本に帰ってから食べ、舌鼓を打ったわけだ。それに味をしめ、日本産を買ったところ、食べられたものではなかった。
山のおかずとしてチーズとハム類を選んだ。実は現地ガイドが山小屋でチョリソ(スペインのサラミ)を食べているのを見て、「そんなん売っていたのや」と羨ましかった。小学校時代の浅丘ルリ子のように見つめていたのだろう、1切れ、食べさせてもらったが。
夏、山小屋で自炊しなければならない場合、パン、チーズ、サラミ、サンショウチリメンなど、比較的乾いた食品が便利である。火を使う必要もない。水分はペットボトルに入れる。粉のポカリスエットを規定の倍程度に薄めて詰めておくと、エネルギーと汗で失われる塩分補給にもなる。後は非常食としてのアメである。
カナリア諸島では3回、山を歩いた。山から下りると飯とビールがうまい。その中で一番印象に残っているのが、ゴメラ島のガラホナイ国立公園(世界遺産)の中腹にあるレストランで食べたウサギ料理である。料理全体として、サラダと小さなジャガイモを丸ごと蒸したもの(これが美味い)、ウシ、ヤギ、ウサギの3種類の肉を香辛料で煮たものが出された。ヤギはあまり美味くなかった(ソコトラ島の方が美味い)。島のウサギは、どうも日本でのネズミを大きくしたような姿らしい。生きている姿を見なかったので確信はないが。
そのウサギの料理、骨の間に何か楕円形のものが付いている。最初はその部位を遠慮していたが、最後に食べてみると、骨は肋骨だった。とすれば楕円形のものは心臓のような。それなりにウサギは食べられたが、さすがに心臓は遠慮したかった。
そこで思い出したのは、学生と入った食べ放題の焼き鳥屋で「心臓大好き」と何皿もお代わりを頼んだ学生がいたことである。逞しい。そんな学生に出会ったら、埼玉の美園駅に誕生したと報道されていた「うさぎの駅長、ラビタマ」が卒倒するだろう。

2015/07/05


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