川北英隆のブログ

株価下落に日銀は特効薬なのか

いろんな所で株価下落が話題になっている。「企業業績からすると下げ過ぎ」という声が大分小さくなって、その代わりに日銀の追加金融緩和待望論が強まっている。でも、どれだけ効果があるのか。
日銀を期待する背景には、中国経済の成長率低下、米国の政策金利引き上げ効果、中東や南米経済の混迷、欧州経済の低迷などからして、日本の経済もよろしくないとの前提がある。つまり、企業収益も冴えなくなるから、株価を支えられなくなる。
とすれば、「日銀や、日銀や」「日銀にもっと株式を買ってほしい」ということなのだろうが、需給だけで株価が上がるもののか。もちろん一時的な効果はあろうが、結果は市場を殺してしまう。
反省しないといけないのは、景気が上向いている時に、政府が公的年金に株式を無理やり買わせたものだから、この肝心の株価下落時に買う余力がなくなったことである。公的年金とすれば、自作自演に近い形で株価を上げたものの、その無理が祟って今は自爆しつつあることになる。
そもそも黒田総裁になって株価が上がった裏には、また安倍政権の経済政策が成功した裏には、大きな幸運があった。世界経済をアメリカが牽引し、また欧州にしろ、中国にしろ、まずまず安定していた。現在、そんな幸運は期待できない。とすれば、日銀の政策が株価の位置を一段引き上げるなんて、夢物語に近い。
ついでに言えば、株式市場で儲けようという投資家が日銀を当てにするなんて邪道である。そんな邪道に片足を突っ込むくらいなら、株式投資から身を引くべきである。株式投資を続けてしまうと、世界の投資家に、「日本人は美味やな」と餌食にされるだけだろう。

2016/01/21


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