川北英隆のブログ

公的年金の資産運用に思う

年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)とは腐れ縁に近い。そこの資産運用に直接関与したことはない。評価する立場からの縁である。独立行政法人の評価委員が馴れ初めだろうか。
別にGPIFと親しくなったところで、良いことがあるわけでない。官僚的な組織であり、厚労省という親分と、今は内閣という大親分がいる。だから、仕事をしていて楽しいわけがない。
そのGPIFの運用責任者M氏が金融庁の「スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議」に登場した。GPIFのスチュワードシップ・コード対応を説明するためである。そのM氏とも、GPIFの評価に際して何回か会っている。
いい機会なので、彼に、過去の念押しも含めて、いくつか質問した。会議は公開だし、いずれ議事録が公表されるから、ポイントを述べても問題ない。
第一に、アクティブ運用とパッシブ運用の位置づけを聞いた。これに対して、アクティブ運用を重視するような返答だった。
第二に、パッシブ運用のフィーを安くしようとすれば、パッシブ運用で保有している企業との対話のコストを賄えないのではないか、そもそもパッシブ運用と対話とは両立しないのではないかとの質問だった。答えは、GPIFはパッシブ運用といえども、対話を求める姿勢とのこと。また、議決権行使(対話も含んでいると考えられる)の仕方はアクティブの模倣ではダメだとも。そのコストに関して、数年前から(M氏が登板した頃からだと記憶しているが)コストの一番安いパッシブ運用を採用しているわけではないこと。以上を説明していた。パッシブ運用で投資する企業の選別方法と対話とコストとのバランスにより、運用委託先を決めているらしい。
第三に、対話して、株主総会の議決権行使を行使して、それでも投資先の企業が、投資家の視点からして合理的な行動をとらなかったときに、その企業の株式を売却すべきではないかと質問した。これに対しては、アクティブ運用では売却すべきとの答えだった。パッシブでは、どうも売らないらしい。
第四に、パッシブ運用の場合、基準となるインデックスに多様性が必要ではないかと質問した。これについて、パッシブ運用のインデックスに関しては再考中とのことだった。また、対話のコストを考えるとインデックスの模倣の仕方に工夫の余地があるとも。
以上、今回の会議ではいくつかの収穫があったと自己評価している。

2016/02/19


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