川北英隆のブログ

やはり日本の株価の基盤は脆弱

昨日、イギリス国民がEU離脱の意思を示した。最も大きな影響を受けるのはイギリスである。国が分裂する危機さえある。イギリスとの貿易、交流の多いEUにも打撃である。そんな中、世界の株価の動きを見て、変なことがあった。
イギリスの国民投票の結果は僅差であり、地域差も大きい。スコットランドは62%が残留支持だった。北アイルランドとともに、イギリス分裂の動きが表面化しつつある。
イギリスが去るEU内にも、他に離脱の動きが出てくるだろう。経済圏を拡張することにより、自国の人口問題をクリアしようとした独仏の戦略の行き詰まりがますます明瞭になった。EUとして、政策の刷新が必要かもしれない。
これらの結果は株価や通貨の価値を下落させる。株価の下落率は、イギリスが3%台、フランスは8%前後、ドイツは6%台だった。市場は、イギリスよりもEU経済への打撃の方を心配したのかもしれない。また、イタリアとスペインは12%台であり、経済の弱さと政治的な不安定さが影響しているようだ。
通貨は対円で(本当は対ドルで見るのが望ましいが少し面倒なので省略)、ポンドが157円台から140円台へ、ユーロが120円台から113円台へと低下している。ともに大幅な下落率であり、経済の弱体化の懸念を表している。
一方、アメリカは、株価は3%台の下落、通貨は対ユーロで上昇だった。こちらは、経済へのある程度の打撃は避けられないものの、相対的なアメリカ経済の強さも意識されている。ドル高は投資資金の本国回帰でもあるだろう。
これに対して日本は、株価は7%台の下落率である。これは独仏と同じ率である。アジア諸国が1、2%程度の下落率に留まっていること(韓国とオーストラリアが3%をほんの少し超えた程度)と比べても、EUとの貿易がそんなに多くない日本の株価下落率は異常に高い。やはり日本株全体は仕手株であり、まともに投資するに値する企業が少ないことを反映しているとしか思えない。それとともに、投資家に信念がない(すぐに怖がってしまう)こともあろう。
これに対して為替は対ドルで円高に振れた。円高は米ドルと同様、投資資金が日本に戻ろうとしたのだろう。もっとも、株式市場の大幅下落に見られたように、投資家の信念のなさも影響しているだろう。
昨日の日本株や為替の値動きは、日本の主要な投資家がサラリーマンによって構成されている、つまり本当のプロが少ないことの裏返しかもしれない。やはりサラリーマンである上司に、「こんな時に株を売らんでどうするんや、何で外貨のポジションを持ってるんや」と怒鳴られるだろうから、その前に「とりあえず売っとくか」となる。

2016/06/25


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