川北英隆のブログ

大先生、株式の話はしない方が

今日、火曜日の新聞を読んでいた。少し日にちを置いて読むと、新聞のいろんな側面がよく見える。それとは直接の関係はないものの、火曜日の経済教室、浜田宏一大先生の論説は驚きに値した。
全体の話は「消費増税延期と財政信任」という題に則したもので、財政と金融ことが書いてある。全体として、「まあ予期したお話」なのだが、驚いたというのは、株式市場に関する認識が素人というか、そこらによくいる普通の老人の井戸端談義に近いことだった。
紙面の最後の欄を読んでみるのがいいだろう。
「企業収益が好調なのに、それが賃上げよって・・」とあるのは、大方の経済学者が間違う論理であり、大先生に限ったことではない。企業収益の好調さを、国内と海外に分けて考えないと、認識を誤る。海外が日本企業の利益の原動力になっていて、国内は必ずしも好調とはいえないから、企業利益が国内の賃上げに結びつくのはハードルが高い。このことをしっかりと認識しないといけないだろう。
「企業収益が・・内部留保に蓄積されている。・・内部留保は株高となって表れるはずだ」という議論は強引である。この後、「それ(株高)が起きないのはヘッジファンドなどが・・」と展開するのは、「企業や政府が悪いのではなく、第三者が悪者」と決めつける、素人的な屁理屈というか邪推の典型である。内部留保の渥美が企業の株価の底割れを防いでいる、そう認識すべきである。しかし上値を追えないのは、結局ところ企業業績に力強さがないからにすぎない。
論説の締めくくりとして、「株式市場に国内からの買い圧力が生まれてこないのは・・」ということで、臆病な「年長の世代」やメディアをなじっている。ここまで書くと噴飯ものに近い。個人投資家が買わない理由はさまざまである。大先生にとって魅力的な投資対象がどの程度あるのだろうか。大先生はどの程度、株式投資をしているのだろうかと問いたくなる。また、メディアは精一杯の応援記事を書いている。これは僕の知っているほとんどの有識者の見解である。そんなに努力しているメディアをなじると、日経新聞に悪いではないかと心配になる。

2016/06/30


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