川北英隆のブログ

ヘリコプターマネー大作戦の成否

今日、市場関係者とヘリコプターマネー(ヘリマネ)について意見交換した。市場ではヘリマネに対する期待が強いようである。その金融政策により、一時的に証券価格が上昇すると期待できるからだろう。
ヘリマネとは、まさに中央銀行である日銀が輪転機をフル回転させ、その新しい札をヘリコプターで撒く、そういうイメージである。要するに、返済してもらうことを期待せず(タダで)、札をばら撒くことである。
現実には、日銀がヘリコプターを使って札をばら撒きはしない。政府が国債を発行し、日銀がその国債と引き換えに札を渡し、政府はその札をばら撒くことになる。
ばら撒くのに近いイメージは、国民に商品券を無償(タダ)で配ることだろう。全国の市町村に資金を渡し、それで建物を作らせてもいい。昔、1億円を渡して自由に使えというのがあった。
では、ヘリマネは嬉しい政策なのか。僕だけが商品券をもらえれば嬉しいだろうが、国民全員がもらうとなると状況が異なる。
土用の丑の日の前日に商品券が配られたとしよう。と、多くの国民は「どうせやったら、うな重を食べたいなあ」と思い、うなぎ屋やスーパーに殺到する。と、うなぎの値段が暴騰する。嬉しいだろうか。
うな重にかぎらず、ヘリマネが大規模に行われると、さまざまなものの値段を上げる。つまり、インフレをもたらす。下手をすると非常なインフレになりうる。それに伴って日本の輸入が増えるから円安要因になる。相当のインフレを予想する国民が多くなると、資産を海外に逃避させようとの動きが高まり、急速な円安が進む。
ということで、ヘリマネ大作戦は、ろくな結果をもたらさないと思うのだが。
もう1点、すでにヘリマネは行われていると、僕は理解している。この点は次回に。

2016/07/21


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