川北英隆のブログ

独自性が京都企業の特徴

京都企業の特徴はどこにあるのか。最大の特徴は「独自性の追求」にあると思っている。他の企業が行っていることを真似ようとしない。それとは違うことを行おうとすることである。
真似して成功しても、それは恥に近いのだろう。少なくとも誇れることではない。
もちろん、基礎部分は先人たちが築いたものである。しかし、先人たちの、もしくは同時代が築いた技術から、どれだけ離れることができるのか。離れて独自のものを作ることに、京都企業の誇りがあるのだと思う。
これは大阪とは異なった文化である。大阪は「銭の花を咲かすこと」に誇りがある。儲けの大きさ、つまり金銭的な結果が企業の成功に関する最も重要な判定基準になる。これに対して京都の場合は、もちろん金銭的な成功がなければ元も子もないのだが、金銭的成功がある程度伴うかぎり、社会に対する貢献(金銭以外の貢献)が重要な要素として加味される。
この価値基準があるから、京都企業は京都企業同士で競合することがない。当然、京都企業自身が、他の日本企業がすでに成功している分野で競合し、成功しようという行動もほとんど取らない。これが独自性の追求である。
もっとも、京都企業はかつて都だった京都の工芸技術に端を発しているから、精密技術に基づく製造業の分野から大きく抜け出すことがないままである。だから、独自性の追求においてアップル、マイクロソフト、グーグル的な革新企業の登場もなかったと言える。
ここに、ニッチな要素が強いながら、誰もやらないから高い利益率を誇る京都企業が生まれたと思える。現時点において、日本企業の最先端的な生き方の手本となっている。とはいえ、上で指摘したように、世界的な巨大企業は生まれてはこない。これが京都企業の限界でもある。
言い換えれば、日本企業全体の課題は、独自性を追求し、それでいて世界的な巨大企業を出現させる力と知恵の発揮だろう。

2016/10/09


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