川北英隆のブログ

コンゴ民主共和国という国

コンゴ民主共和国(コンゴ民主)の国土の面積は234.5万平方キロ、日本の6倍強、世界で11位である。その面積の約1/3が北半球、2/3が南半球に属している。つまり、赤道が国土の少し北寄りを走っている。
気候は、赤道付近が熱帯雨林気候から熱帯モンスーン気候、それを離れると、もしくは東部はサバンナ気候といったところか。全体として雨に恵まれている。
コンゴ民主の国土のほぼ全域がコンゴ川の流域である。一方のコンゴ川は、ウバンギという大きな支流の流域が、コンゴ民主の北にあるコンゴ共和国と中央アフリカを流れている。言い換えると、コンゴ民主の国土は、コンゴ川本流と南側の支流の領域とほぼ重なっている。
なお、コンゴ民主の中を赤道が走っていることからある程度イメージできるように、コンゴ川本流は、源流が南半球、中流域で一度北半球側を流れ、最後は南半球に戻っている。このことは、年間を通じ、コンゴ川に安定した水量をもたらしているそうだ。
コンゴ川はコンゴ民主に降った大量の雨を集め、大西洋に注ぐ。水量はアマゾン川に次いで世界第2位である(といっても、アマゾンの1/5程度で、アマゾンの圧倒的大きさに驚いてしまうが。ちなみに、水量の第3位は揚子江のようだ)。コンゴ川の河口もコンゴ民主に属すが、大河にしては河口部分が非常に狭い。このため(コンゴ民主の国土がコンゴ川の流域と重なっているため)、コンゴ民主の大西洋への出口も非常に狭い。
比喩的に表現すると、膨大な水量が、漏斗のように河口に運ばれる。コンゴ民主全体が漏斗でもある。
以上、興味があれば(そんなの、誰もないか)、地図を見れば一目瞭然である。
コンゴ民主の人口は7972万人(2016年)、アフリカではナイジェリア、エチオピア、エジプトに次いで第4位である。人口増加率は年率3.2%と、アフリカの中でもとくに人口の爆発が生じている国と言える。国民所得は1人当たり419ドルと最貧国に属すが、都市部と農村部に分けて考える必要がある。この点は後日に。
産業的には鉱業の国である。産出量の多いものとして、銅(世界8位)、錫(10位)、ダイヤモンド(2位)、タングステン(7位)、コバルト(1位)、タンタル(3位)が挙げられる。これらの鉱物資源は東部から南東部にかけて分布している。結果として、コンゴの東部地域が比較的豊か、西部が貧乏という構図である。このことは、東部地域の潜在的な独立意識と、紛争に結びついている。
コンゴ民主は1960年にベルギーから独立した。宗主国としてのベルギーの政策は最悪に近かったと考えていいだろう。食事とビールだけはベルギーの貢献といえるだろうが(とくにビールの質は高く、食事も現地の食材を考慮すると質は高い)、教育や経済システムはどうだったのか。コンゴという地域が広すぎ、十分に政策が行き渡らなかったとも考えられるが、略史を読むかぎり、悪政だったようだ。
さらに東部地域と西部地域の経済格差もあり、独立直後のコンゴ動乱、その後の度重なる内戦、周辺国の干渉が生じている。現在は国連軍の駐留によって落ち着いているものの、逆に見れば、駐留を続けないといけない程度に潜在的な緊張があるのだろう。もっとも、コンゴ民主にはイスラム色がほとんどないため、内戦が生じていないかぎり安心感はあるが。

2017/01/09


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