川北英隆のブログ

配当を株主が決められるのか

株主総会の季節になると、配当をどうするのかが賑やかになる。株主として多くもらいたいとの意見も強まる。今年6月の株主総会では、村上ファンドが黒田電気に対して株主還元の増強や社外取締役の選任を求めたとされる(直接関心がないので議案を見ていない)。
この株主還元(配当や自己株取得)について、株主が本当に決められるのか。法的に、株主還元は総会での決議に基づくケースが多い。
では、経済的には(経済合理性においては)どうなのか。社長をはじめとする経営者に事業の遂行を任せている以上、株主が配当を決めるなんてナンセンスだと考えている。
この点、配当とは何なのかを考えればいい。配当とは、税引後利益(純利益)から、将来の事業計画遂行のために必要な内部留保を差し引いた残りである。例えば、ちゃんとした経営者なら、新しい工場建設、新しい分野への進出などを計画しているだろう。そのための資金計画もある。内部留保を中心とする自己資本(株主資本)と借入などの外部資金を混ぜ、計画した事業展開を図るに違いない。
いずれにせよ、配当は残余でしかない。とすれば、残余がこれだけ欲しいと、事業計画も知らない株主が注文するのは無茶であり、経営を困らせてしまう。
「でも」との声があろう。「今の日本企業は内部留保を現金として抱え込みすぎている」、「あり余る現金を成長戦略のために、全くと言っていいほど使っていない」との文句が募る。多くの企業はそのとおりである。この現状に対してどうするのか。
プロの投資家であれば、企業と意見交換し、経営に対して注文を付けることである。意見交換をしても配当に対して納得のいく理由の説明がなく、経営が変わらなければ、どうするのか。最後の手段として、株主総会での会社側の議案、とくに取締役の選任議案に対して反対の票を投じるか、その企業の株式を売るしかない。
個人株主であれば、株式を売って、良い経営をしていると考えられる企業の株式に乗り換えることだろう。
株主は事業遂行のプロを経営者として選んでいる。経営者は株主から選ばれ、事業を遂行し、その一環として内部留保を決め、残余としての配当を株主に支払う。内部留保は企業の成長をもたらし、株価を上げてくれるはずだ。これが理想である。
とすれば、内部留保に正当な理由がなく、その残余としての配当にも当然正当な理由がないのなら、選んだ経営者が期待外れで失格だったという以外の何物でもない。このように考えれば、結論は上に述べたとおりである。経営者のクビをすげ替えるか、その企業を見限るしかない。


2017/07/03


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