川北英隆のブログ

関空はバブル飛行場

関空が水没した。日本沈没みたいだが、台風21号による高潮の流入はそんな感じである。関空は出自からして欠陥だらけである。着工されたのは1987年、バブルの最中。「新しい工法で空港を」「行け行けドンドン」と、土建業者の口車に乗ったと思っている。
思い出すと、当時、関空の建設によってどこそこ会社が儲かるとの記事が氾濫していた。東京湾岸の開発と重なり、「ウォーターフロント」という文字が飛び交ったと思う。古き良き、無駄の多かった、宴の時代である。その恩恵にあやかったというか、迷惑を被ったというか、無駄な飲み会が多かった。
そんな関空、今はともかく、1994年に完成して20年間くらいだったか、赤字が続いた。その資金調達に協力するため、某N社は関西企業ということもあり社債を購入していたのだが、僕が債券部門の部長の時、関空に出向していた役人から脅された。
赤字続きの会社の社債を、準公的機関(当時は政府が全額出資する株式会社)としての低い利率で、それも言われるがままの金額を引き受けられないと交渉していたところ、「関西の財界の偉い人に言いつける(お前の部長としての地位が危ないぞー)」と面と向かって言われたのである。東京から派遣されたこっぱ役人だったと思う。
当時、N社を辞めるかどうかはまだ決めていなかったと思うが、そんなんで尻尾を巻いたら関西人ではない。河内に親戚がいたし(河内は怖いぞー)。それにN社も関西企業である。というので、脅されたことを上司の担当役員に報告したうえで、同じ交渉を続けた。
それはともかく、関空は沖合5キロにある。そこに渡るには電車か自動車で連絡橋を通ることになる。何回か利用して気づいたのだが、この橋、ちょっとした強風が吹くと通行止めになる。関空から海外に飛び立つときには、夏から秋は台風に、冬は季節風の動向に気をつけないといけない。
台風の客観的情報でさえあまり伝えないニュースだから、関空方面の気象情報なんてないに決まっている。だから、自分で予想し、行動するしかない。
一度だけ、確か台風が来ていたので前泊しようかと真剣に考えたことを覚えている。台風が逸れそうだと判断したので止めた。ある冬の季節風の時は怖かった。乗り合いタクシーだったのだが、橋の上の強風で時々流されるのがわかった。
その関空、埋め立てだから地盤が沈んでいる。今でも毎年数センチ沈んでいるらしい。しかも温暖化で水面が上昇してくる。南海地震による津波の心配もある。地震の時、どう逃げるのだろうか。
と、その前に今回の高潮である。平均的な高さよりも海面が4メートル近く上がったらしい(潮位が329センチ上がったと報じられている)。しかも航空燃料を運ぶタンカーが関空への連絡橋にぶつかり、橋を傷めてしまった。
海水で飛行機が濡れたらどうなるのか。飛行場にあるいろんな機械類も同様である。錆びるだろうし、飛行機事故による影響を考えると、その錆びの影響がどの程度か検査しないといけない。
関空、もう少し真面目に対応を考えないといけない。まずは岸にできるだけ近づけて拡張工事を行うことだろうか。いずれにしてもバブル時代の宴のツケが残っている。

2018/09/06


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