川北英隆のブログ

外国人に対する日本の甘さ

旧聞に属するが、クルーズ船で入国した外国人の失踪が相次いでいるらしい。2015年、クルーズ船で押し寄せる外国人の入国手続きを短縮するため、ビザや顔写真撮影なしで入国できる制度が発足した。これをまんまと利用し、不法入国する外国人が毎年何十人といるらしい。
日経新聞が法務省入国在留課から得たところによると、15年21人、16年36人、17年79人、18年も半年で35人の行方が不明とのこと。今年の夏、大阪で囚人が逃げたところ、顔写真があるにもかかわらず長い間見つからなかった。とすれば、顔写真のない外国人の場合、一度逃げられると探し出すのはきわめて困難だろう。
飛行機による入国では、検査が厳しい。このため、武器などの不法持ち込みが難しい。では、船での入国はどうなのか。大量に入国するため検査が甘くなり、武器の持ち込みが比較的簡単ではないのか。この点をかねてより心配していた。それなのに、船での不法入国者が多いと聞くと、武器持ち込みの心配が現実のものだったと思えてしまう。
旅行業者や地方自治体の要請に唯々諾々と応じる政府の姿勢が疑問である。経済も重要だが、治安がもっと重要である。安価に来日できる船での入国では、いろんな人間が混じる。飛行機よりも厳重にチェックすべきではないのか。
外国人労働者も同じである。経済的な都合しか考えない企業の要請を受け、なし崩し的に海外からの労働者を認めようとするのは、物の一面だけしか見ない愚かな政策である。労働者は機械ではなく、人間である。海外から来日する人々の人間としての満足も考え、制度設計しなければならない。
たとえば、日本で子供が生まれた時にどうするのか。その子供の処遇、教育、生活のことを考えておかなければならない。満足を与えなければ、しっぺ返しを食らうだけだろう。
ヨーロッパで現実化しているような、一種の反乱が現実のものとなりうる。ヨーロッパ以上に日本は何も考えていないから、より早期に、より大きな外国人の反乱の可能性が高いのではなかろうか。
僕として、外国人を差別するつもりは毛頭ない。自国の経済だけを考え、つまり自己都合だけで外国人を日本に招くことが、結果として外国人に対する大きな差別になってしまうと考えるにすぎない。ある意味、政府自身が外国人を差別している。

2018/10/30


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