川北英隆のブログ

金融庁の京都大学での講義

今日、金融庁の中島総括審議官に京都大学で講義をしてもらった。証券投資論での1コマである。昨年度に講義してもらう予定だったが、急用のため代理の補佐が教壇に立った。今年こそと、中島総括審議官にとって一種のリベンジだったが、なかなかの綱渡りだった。
1つに、臨時国会が開催されている。審議官ともなれば、いつ国会に呼ばれるかもわからない。当然、講義よりも国会の優先度が圧倒的に高い。というか、比べるまでもない。
もう1つは、昨日の夜に判明したカルロス・ゴーンの逮捕である。容疑が「金融商品取引法」の開示規制違反だった。これは金融庁管轄の法律である。そのニュースをネットで見た瞬間、「アカンかも」と思ってしまった。昨夜から今朝にかけて、中止メールが入らないかどうかひやひやしていた。結局は問題なかった。法律が金融庁の管轄だとしても、逮捕するのは検察だから関係ないのだろう。
安心材料としてあったのは、中島総括審議の付添いとして、京都大学出身で金融庁に入った若手がいたことだった。理学部出身で博士の学位を持っている。
そのような若者を役所が採用するなんて、すごく優れている。日本企業はそういう学歴の若手を採用しない。「使えない」との理由だと聞いている。
で、その「使えない」とは、どういう意味なのか。「彼/彼女の才能が会社向きではない」ということなのか、「一企業として彼/彼女の才能を持て余す」ということなのか。とはいえ、いずれの意味だったとしても、一企業として専門的能力を活かす分野を作らないといけないし、そんな分野がない企業なんて最低である。上司が使いこなせないとすれば、それは上司としての能力不足であり、給与を返納すべきだろう。
講義の内容は興味深かった。金融庁の問題意識を俯瞰できた。その内容を細かに紹介できないが、一口で言えば、デジタル技術の進歩に金融行政をいかに合わせるのか、その模索の一端が話された。
付け加えておくと、金融庁は金融知識の向上のため、大学や高校での教育に積極的に取り組み、出張しているとか。是非、講義してもらったらいいのではと思う。

2018/11/20


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