川北英隆のブログ

ワディ・ラムに向かう

今回のヨルダンの目的は、少なくとも僕にとっては山登りである。サウジアラビアとの国境付近にウンム・アーダミ山(1854メートル)というのがあり、それがヨルダンの最高峰とのことだった。
実はこの山、2015年の4月だったが、登ろうとした。もちろんツアーだったが。ところが出発の直前、日本人ジャーナリストが隣国のシリアで「イスラム国」の一派によって殺されるという事件が起きた。ヨルダンは比較的安全な国なので、「そんなの関係ない」と思っていたのだが、他のツアー参加申込者からキャンセルが相次ぎ、結局はツアー自体が消滅してしまった。今回はそのリベンジである。
飛行機がアンマンに降り立った後、そのままバスに乗り込み(アンマン市内に入らず)、ヨルダンでメインの街道を南下した。紅海のアカバから首都アンマンを、さらにはシリアのダマスカス、アレッポへの続く道であり、歴史的にも重要な街道である。
実はアンマンをはじめ、ヨルダンの中心都市の海抜は1000メートル近くある。その道が南下するにしたがって徐々に高度を上げ、最後は1550m程度の峠を越え、その後は下っていく。
800メートルくらいにまで高度が下がると小さな町(QueiraもしくはQawirah)になり、その先で東に入る。水と風で侵食された岩山が点在している。それがワディ・ラムである。ワディとあることから分かるように、雨季に水の流れる谷である。
ちなみに、街道をさらに50キロほど南下するとアカバ、紅海に到達する。アカバ付近の紅海はエジプト、イスラエル、ヨルダン、サウジが領地を有している事実から、地政学的な重要性が理解できる。
ワディ・ラムに入ると、鉄道の線路がある。リン鉱石を運ぶためのものだそうで、積出港であるアカバに達している。ヨルダンはモロッコおよび西サハラ、中国、南アフリカ、米国に次ぐ産出国だそうで、農業にとって重要である。ヨルダンのどこで採掘しているのかはわからなかった。
それはともかく、その日の宿泊は「キャンプ」である。アラブの遊牧民、ベドウィンのキャンプを模したホテルというか砂漠の中の宿泊施設が観光客用に、ワディ・ラムのいろんなところに建てられている。夕方、その中の1つに到着し、泊まった。ベッド、シャワーと洗面がある。アルコールはない。Wi-Fiも多分ない(聞きもしなかった)。
写真は我々が泊まった「キャンプ」である。夜中、住み着いた(飼われている?)猫がワオワオ鳴いていた。
20190419ワジラムのキャンプ.JPG

2019/04/19


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