川北英隆のブログ

ボルカー元FRB議長の呼び声

ボルカー氏が12/8に死去した。92歳だとか。1979年から87年までアメリカの中央銀行に相当するFRBの議長、すなわち金融政策のトップを務めた。アメリカ経済を立ち直させたことにおいて、戦後最高のアメリカ中央銀行トップだった。
そんなボルカー氏の死去は教養として知っていたのだが、その話が普通人の死去のように話題に出てくるとは思わなかった。
ある会合で、日本の国際金融関係のトップらと雑談する機会があった。そこに行天豊雄さんが出席していて、やおら、「先日、ボルカーと、亡くなる前日、同じ家にいた」と話し始めた。
「何それ」と思ったところ、たまたま行天さんがニューヨークだったか(ボストンだったかもしれない)を訪れたとき、ボルカー氏の状態が良くないと漏れ聞いたので、ボルカー家に電話したとか。奥さんが出てきたので、「一度会いたい」と言ったところ、「会っても誰だか分からないだろう」と言われたのだが、「とにかく会いたい」と訪問したとのことだった。
訪問するとボルカー氏の意識はなかったそうだ。そこで彼の手を握り、名前を告げたところ、彼が一瞬目を開けたという。それを2度繰り返し、「これ以上しても仕方ない」と思い、帰ったそうである。その翌日にボルカー氏が死去した。葬儀に出るにはさらに数日滞在しなければならないので、奥さんに謝って帰国したとのことだった。
行天さんはもうすぐ89歳、それでも元気である。ボルカー氏と3歳くらいの差である。アメリカ経済の底入れと、日本経済のピークの時代に、両人は金融政策、為替政策の指揮官として活躍した。死期に際して一人がもう一人を呼んだのか。
これも時代だと思った。

2019/12/12


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