川北英隆のブログ

繋げた猫の雑感

台湾の繋がれた猫で思い出したことがある。わが家の猫である。三鷹を追われ国分寺に引っ越したとき、猫も連れていった。車に乗せ、新しい家に慣れさせてと、いろんな苦労をした。
バブルの時代だった。三鷹の借家付近の地下も高騰していたようだ。家主から電話があり、家を売りたいのでいついつまでに出ていってほしいとのことだった。
駅から遠かったが、自然が豊かだった。ハケの上にあり、その崖の端から富士山も見えた。もっと長く借り、住むつもりだったのに、追い出された格好だった。
新しい家には2つの条件があった。1つは山歩きのために中央線沿線に住むこと、2つには猫のために一軒家が必要だった。
さらに言えば、通勤をスポーツだと考えていたので、駅まで近からず、とはいえ遠からずとの条件もあった。駅まで近からずという条件、資金力を考えれば当然に満たされるのだが。
見つけたのが国分寺の家だった。といっても、立川との境界線近くだった。三鷹の家が調布との境界線上にあったことと、結果として一緒になった。
まず、猫を車に慣れさせるため、何回か乗せて走った。わが家の猫は怖がりだったので、足の裏がびっしり濡れた。
次に国分寺の新しい家に慣れさせなければならない。新しい家に慣れず、そのまま家出してしまう(前の家を探して迷子になってしまう)猫もいるとかのことだったので、しばらくは首輪をして、犬のようにヒモでつないで飼っていた。
何日かして、家の周りも歩かせようというので、犬スタイルでまず家の狭い庭を散歩させた。猫がトボトボ歩くのを見て、新しい家に移って元気がないのだなと安心し、もう少し歩かせることにした。と突然、猫が暴れ、首輪を外して隣の家との塀の上に飛び上がり、向こう側に下りてしまった。こっちはヒモと先に付いた首輪だけを持っていた。
猫に裏をかかれた事件である。「ウチは元気のない猫です」と見せて隙きを窺い、自分のしたいことをする。そんな猫に騙された事件である。
逃げられた後、猫はすぐに見つかった。新しい自分の家を気に入ったのだろう。ということで、すぐに首輪とヒモのない本来の猫の生活に戻った。

2019/12/04


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