川北英隆のブログ

コロナと中国旅行者と京都と

今日は春節、旧正月である。この正しい暦を守る中国は素晴らしい。でも今年の春節、コロナのために日本にとっては悪夢だろう。大量の中国人旅行者が日本に押し寄せてきた。
以前に書いたことがあるかもしれないが、春節の前日、つまり大晦日に上海で泊まったことがある。ホテルの窓から見ていると打ち上げ花火の七色と爆竹の音が絶えなかった。小窓を開け(ゼミの学生達と一緒に泊まったせいもあり、安宿だった)、花火の写真を撮っていると、部屋に流れ込む空気に硝煙臭がしたし、遠くの空は白く霞んでいた。
中国が豊かになり、花火と爆竹だけでは飽き足りなくなったというので、今は海外旅行に繰り出す。日本に何万人がやってくるのか。京都の錦市場には中国語が充満しているのだろう。でも、わが家は緊急のことでもないかぎり錦に近づかないこととしている。
新型コロナウイルスの患者が混じっている可能性がある。中国が遅れ馳せながら厳戒態勢に入った。それでも昨日、今日と、日本をはじめ各国で患者らしき者が見つかっている。
それに日本の入管時の検疫態勢が十分なのかどうか、大きな危惧がある。かつてベトナムを旅行した時、ホーチミンで友人が酷い下痢になった。帰りの飛行機では、非常事態だと告げてトイレ近くの席を確保してもらったくらいだ。日本での入管時、検疫の窓口で「コレラやないか」と申告したのだが、住所だけを書かされ、そのまま入国させられたとか。
そもそも検疫の人数がいない。この春節の時期、中国からの便が着いた時にどうしているのか。やはり自己申告に任せているのだろうか。体温をセンサーでチェックする方法は、今回のコロナちゃんには通用しないとの説もある。発熱しないこともあるし、しても高熱にはならないと言われている。そうなら体温センサーでは入国を止められない。
検疫は厚生労働省の担当である。コロナちゃんに限らず、エボラちゃんをはじめとして治療方法の確立していない脅威の伝染病がたくさんある。しかも今年、安倍政権が命をかけるとう演説したらしい東京オリンピックが開催される。そんな重大年であるにもかかわらず、政府としてコロナちゃん対策をどうするこうするというニュースがほとんど流れて来ない。旧来の手立て以外、多分何もないのだろう。これではいずれ、コロナちゃんのせいで東京オリンピックが流れる可能性もある。
思うに、観光立国を目指す日本の政策や意気込みとは裏腹に、そのリスク対策は皆無に近いのではないのか。カジノ(IR)が典型だが、旅行、宿泊、イベントで儲けようという業者の言い分だけを聞いている。新幹線をはじめとする交通機関の安全対策にしても、オリンピック前に東京駅で、付け焼刃的に何かを始めようとしているらしい。
政府として一番重要なのは国民である。2も3も4もなく、その下のどこかに業者がいる。海外からの旅行者で日本が潤うことに反対はしない。その代わり、テロ的行為、不法滞在、疫病対策、混雑による観光地の劣化など、観光大国によって生じるリスク対策、弊害対策をしっかりと講じてほしいものだ。それも先手、先手と頭を働かせて。

2020/01/25


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